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ステージ1

ステージ1のがんは完治するのか

がんの種類にもよりますが、ここでは一般的な臓器のがんについて説明します。

超早期であるステージ0のがんは、がん細胞が粘膜内にとどまっている状態です。これが少し広がった状態がステージ1とされます。広がっているとはいっても筋肉層の範囲を超えることはなく、リンパ節などには転移していません。ステージ1も早期がんといっていいでしょう。

ステージ1のがんは完治するのかという問題に対しては、まず完治の定義をはっきりさせなければなりません。

「寛解」と「完治」の違い

がんに限ったことではありませんが、病気に対して「寛解」という言葉が使われる場合があります。寛解とは病状が落ち着き、現時点で治療をしなくても問題がない程度にまで治ったことを指します。

がんの種類によって寛解の定義は異なりますが、症状が落ち着いても検査データでは異常が残っている状態を「部分寛解」、症状が落ち着いて検査データにも異常がみられなければ「完全寛解」と呼ぶことがあります。いずれにしても、寛解ではまだ再発の可能性が残っていると考えます。

一方、がんの完治とは治療終了後5年以上にわたって再発がみられない状態を指します。ただ、がんの種類によっては何年たっても再発の可能性があるので注意が必要です。

ステージ1と診断された場合の5年生存率のはなし

5年生存率とは、がんの治療を受けた結果どのくらい生きられるかを示した指標のことです。具体的には、診断された日から5年後に生存している確率を数値で示したものです。

ここで、ステージ1における主ながんの5年生存率を見てみましょう。

参考:国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター「がんの統計 '19」

このように、ステージ1であれば多くのがんで5年生存率が80~90%に達します。一方で難治性のがんといわれる膵臓がんは、ステージ1であっても5年生存率は50%を切っています。

生存率イコール完治率ではない

ここで注意したいのは、5年生存率とはその言葉どおり、あくまでの生存している人の割合ということです。そのパーセンテージの中には、がんが再発して治療を受けつつ5年後に生存している人や、手術でがんが取り切れなかったが5年後も生存している人なども含まれます。つまり、5年生存率は完治した人の割合ではないということです。ここを誤解している人が意外といます。

完治率と混同されがちですが、生存していればがんが治っていなくても生存率にカウントされることを覚えておきましょう。

各がんにおけるステージ1の状態と症状

ここで、いくつかのがんにおけるステージ1の状態と症状を説明しましょう。

肺がん

肺がんステージ1の主な症状

肺がんステージ1は初期の段階で転移がなく、肺の中にがんがとどまっている状態です。

しかし、肺がんは無症状で進行し、転移するようになってから症状が現れることがほとんどです。検診や人間ドックなど、定期的に検査を受けて早期発見に努めることが大切です。

肺がんステージ1の主な治療方法

肺がんステージ1の治療は手術が基本で、根治のためにはがんが発生した部位を肺葉以上の範囲で取り除く必要があります。がんの部位のみを取り除く方法(楔状切除)では再発を起こす可能性が高くなるからです。

肺がんの標準的な根治手術は、多くの外科手術の中でもほぼ完成されている治療法です。近年では胸腔鏡下手術も普及しており、初期の肺がんであれば従来の手術のように胸を大きく開くことなく、身体的負担の少ない手術を受けられます。出血量も少なく、入院期間も短縮されています。

大腸がん

大腸がんステージ1の主な症状

大腸がんステージ1は初期の段階で、がんが筋肉層内にとどまっている状態です。

初期の大腸がんは自覚症状がほとんどありません。進行すると血便などの症状が見られますが、痔だと思いこんで発見が遅れる可能性もあります。早期発見のためには検診を受けるなど定期的な観察が大切です。

大腸がんステージ1の主な治療方法

大腸がんステージ1であれば、積極的に手術が選択されます。初期の大腸がんはリンパ節への転移がなく、一括で取り切れるサイズなので内視鏡下手術が多くなるでしょう。

内視鏡下手術は開腹手術と比べて身体への負担が少なく、安全性も高いといえます。ただし、出血や穿孔の危険性はゼロではありません。

胃がん

胃がんステージ1の主な症状

胃がんステージ1は初期の段階で、がんが筋肉層内にとどまっている状態です。

初期の胃がんは自覚症状がほとんどなく、進行しても症状が出ない場合も珍しくありません。現在では検診などによって早期発見がしやすくなっています。

胃がんステージ1の主な治療方法

胃がんステージ1の治療は手術が基本です。多くは内視鏡下手術で根治が期待できますが、リンパ節転移の可能性がある場合は胃切除やリンパ節郭清を行なうこともあります。

がんを確実に取り切ることができて、リンパ節転移を起こす可能性が極めて低いと考えられれば、そのまま経過観察に移行します。

肝臓がん

肝臓がんステージ1の主な症状

肝臓がんステージ1は初期の段階で、がん組織は1つだけでサイズも小さく、脈管に広がったり転移したりしていない状態です。

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、がんや炎症があっても初期の段階では自覚症状がほとんどありません。ほかの病気の治療中や人間ドックなどで偶然発見されることも多いようです。

肝臓がんステージ1の主な治療法

肝臓がんステージ1であれば、手術が第一選択肢になります。がんのサイズもまだ小さいので、手術(肝切除)または局所療法としてラジオ波焼灼療法(RFA)が行なわれます。

ラジオ波焼灼療法は超音波でがんの位置を確認しつつ細い針を刺し、ラジオ波を発生されてがんを焼き固める治療法です。開腹手術よりも身体的な負担が少なく、治療時間も入院期間も短く済みます。現在では早期の肝臓がんの標準的な治療法となっています。

膵臓がん

膵臓がんステージ1の主な症状

膵臓がんステージ1は初期の段階で、がんのサイズも小さく膵臓内にとどまっており、リンパ節への転移もない状態です。

膵臓がんは初期の段階ではこれといった自覚症状がなく、膵臓もお腹の奥のほうに位置することもあって早期発見が極めて難しいがんの1つです。

膵臓がんステージ1の主な治療法

膵臓がんステージ1であれば、手術でがんを取り除く治療が効果的です。ステージ1のように周辺臓器への浸潤や転移がない場合では、手術が根治を期待できる唯一の治療法だといえるでしょう。

手術法はがんの部位によって「膵頭十二指腸切除術」「膵体尾部切除術」「膵全摘術」など最適な方法を選択します。

がんのステージ1のまとめ

ステージ1という初期のがんであれば5年生存率も高く、治療が上手くいけば仕事をはじめとした社会復帰も十分に可能です。それだけに、治療にあたって仕事をどうするべきか悩む人、家族のため仕事をあきらめずに治療との両立を試みる人は多くいらっしゃいます。

ただ、がんの診断を受けた場合はできるなら仕事のことをいったん棚に上げ、ご家族とともにがんという病気について学び理解し、治療に全力を尽くすことをおすすめします。

がんの種類にもよりますが、ステージ1のような初期がんであっても手術の前には念のため化学療法を受け、がんのサイズを小さくしつつ、身体中に散らばっている可能性があるがん細胞を叩いてから手術することを医師から提案される場合があります。仕事を優先すると化学療法を受けずに手術するという選択もあり得るわけです。もちろん、後々の再発の危険性は高くなるうえ、実際に再発してしまった人も多くいます。仕事を優先してしまったばかりに、と後悔しても遅いのです。

根治を目指す治療は、早期発見が要であるということをしっかり覚えておきましょう。

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