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膀胱がん

膀胱がんは遺伝子治療の対象となるのか、やさしく解説します。

膀胱がん患者は遺伝子治療を受けられるのか?

遺伝子治療は非常に適応範囲が広いのが特徴のひとつで、膀胱がんの患者さんも治療を受けることができます。

がん遺伝子治療はもともと人間が持っているがん抑制遺伝子を体内に投与し、その機能を回復させる治療法です。したがって抗がん剤のような副作用がないので、たとえがんが進行して体力が低下している場合でも治療は可能です。

さらに、従来の手術療法や放射線療法、化学療法とも併用することができます。むしろ併用することで治療効果を高めることが期待できるのです。

遺伝子治療が受けられる病院はどこ?

当サイトを運営している「遺伝子治療研究会」は、全国100カ所以上のクリニックと連携しています。

その中でも膀胱がんに対する遺伝子治療を受けられるクリニックを複数紹介していますので、治療を検討している人は是非とも参考にしてみてください。

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そもそも膀胱がんとは

膀胱の粘膜に発生する悪性腫瘍が膀胱がんです。膀胱は骨盤内に存在し、腎臓でつくられた尿を溜めておくための袋状の臓器です。

膀胱がんには大きく分けて表在性膀胱がん、浸潤性膀胱がん、上皮内膀胱がんの3タイプがあります。

表在性膀胱がんは表面がブツブツしていて、膀胱の内側に向かって突出するように成長していきます。がんそのものは粘膜にとどまり、転移の可能性は低いとされます。

浸潤性膀胱がんは膀胱の外壁を突破して周辺組織に及んでいく性質があるため、転移しやすいやっかいながんです。

上皮内膀胱がんは肉眼的には明らかながんに見えませんが、膀胱粘膜の壁に沿ってがん細胞が広がります。悪性度が高く、治療しないと浸潤性膀胱がんに変わっていきます。

膀胱がんの原因

膀胱がんの発症リスクとしてもっとも大きいのは喫煙です。膀胱がんにおいて男性の約50%、女性の約30%は喫煙が原因だとするデータもあります。

また、ゴムや皮革、印刷工場などで使用する化学物質に普段から触れていると発症リスクが高まるという見方もあります。ワラビやゼンマイといった山菜も、生の状態だと発がん性物質が含まれているとされます。

日本では男女とも60歳以上に発症することが多く、その中でも男性が圧倒的に多いのですが、その理由は明確になっていません。

膀胱がんの症状

他の臓器のがんと違って、膀胱がんは比較的早期から自覚症状がみられます。代表的な症状は血尿で、特に痛みがないこともあり、一方で頻尿や残尿感がみられることもあります。膀胱炎だと考えて抗生物質で治療しても改善しない場合は、膀胱がんを疑ったほうがいいかもしれません。

膀胱がんが進行してくると尿管が閉塞して水腎症を起こすことがあります。そうなると背中や腰に鈍痛を感じるようになりますが、尿管結石と症状が似ているので注意が必要です。

膀胱がんのステージ(病期)分類

膀胱がんの進行度を示す指標としてステージ(病期)分類が用いられますが、これは他の臓器のがんと同様です。ステージはがんの深さや広がり方、さらにリンパ節や他の臓器への転移の有無などによって判断され、具体的には0a期、0is期からⅠ~Ⅳ期の6段階に分けられます。

ただ、実際の治療はがんの種類によって異なります。現在のステージを把握することはもちろんですが、どのタイプのがんなのかを明らかにする必要があります。

膀胱がんの病期分類

0a期

0a期の膀胱がんは膀胱の内側の粘膜に発生する小さなマッシュルームのような形をした腫瘍で、乳頭状がんとも呼ばれます。筋肉層には浸潤しておらず、腫瘍を完全に取り除くことができれば根治が期待できます。

0is期

0is期の膀胱がんは膀胱の内側の粘膜に広がる平らな腫瘍で、上皮内がんとも呼ばれます。0a期と同じく筋肉層には浸潤しておらず、手術で根治が期待できます。

Ⅰ期

がんが膀胱の内側の粘膜より下の層まで浸潤している状態です。

治療は0a期、0is期と同じく手術が第一選択肢になりますが、がんの再発予防や進展予防を目的として膀胱内注入による化学療法やBCG注入による膀胱内免疫療法を行なうこともあります。これらの治療で効果を得られない場合は膀胱摘出術を検討します。

Ⅱ期

がんが膀胱の筋肉層まで浸潤している状態です。

手術を行なう場合は、できるだけ臓器を温存するためにアプローチの仕方を十分に検討します。また、手術前に化学療法や放射線治療を行なって腫瘍を小さくすることで手術成績を向上させることがわかっています。

Ⅲ期

がんが膀胱を越えて周囲の脂肪組織まで浸潤している状態です。前立腺や子宮、膣などの生殖器に浸潤している場合もあります。

治療は膀胱摘出術と周囲の組織や臓器の完全または部分切除が推奨されます。もし手術が困難な場合は、放射線治療単独または化学療法と放射線治療の併用療法などが選択肢となります。

Ⅳ期

がんが膀胱を越えて腹壁や骨盤壁まで浸潤している状態です。リンパ節や離れた部位へ転移している場合もあります。

Ⅳ期では手術が難しいため、化学療法が推奨されます。化学療法の後に手術や放射線治療を行なうことで効果が得られるケースもありますが、ほとんどの場合は根治に至ることはないと考えたほうがよいでしょう。

また、痛みや出血を緩和させるために放射線治療を行なう場合もあります。

膀胱がんの治療方法

膀胱がんの治療では、手術療法や放射線療法、化学療法といった標準治療が実施されます。

これらについてひとつずつ見ていきましょう。

手術療法

表在性膀胱がんや上皮内膀胱がんの場合は、尿道から内視鏡を挿入して高周波電気メスでがんを切り取る「経尿道的膀胱腫瘍切除術」が行なわれます。この手術法であれば膀胱を温存することができます。

浸潤性膀胱がんの場合は、膀胱すべてと周囲のリンパ節や隣接臓器を一緒に摘出するのが基本となります。こうなると新たに尿の出口(人工膀胱)をつくらなければなりません。

経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)

全身麻酔または腰椎麻酔を行ない、専用の内視鏡を尿道から挿入して、がんを電気メスで切り取る方法です。この手術はがんの確定診断を兼ねて実施されることもあります。

筋層非浸潤性がんの場合は、状況によってはこの手術でがんを根治できます。しかし、表在性がんの場合は再発しやすいため、そのリスクが高いと判断されれば予防のため膀胱内注入療法を併用することも。

切り取った組織を検査してハイリスク筋層非浸潤性膀胱がんと診断された場合は、再度手術を行なう場合もあります。

膀胱全摘除術および尿路変更術

膀胱全摘除術は、筋層浸潤性がんと一部の筋層非浸潤性がんに対する、もっとも有効な手段だと考えられています。

手術は全身麻酔で行ない、下腹部を切開して尿管を切断、膀胱を摘出します。男性の場合は前立腺と精嚢も摘出します。がんの広がり方によっては尿道も摘出する場合があります。女性の場合は子宮と膣壁の一部、尿道をまとめて摘出するのが標準的です。骨盤内のリンパ節も併せて摘出します。

近年では、腹腔鏡下手術やロボット支援手術による膀胱全摘除術が普及しつつあります。

膀胱を摘出した場合、尿を別の方法で体外に排出しなければなりません。そのため尿路変更術が必要になります。この手術は生活の質にも大きく影響するため、事前に主治医の説明をしっかり聞いて理解、納得しておくことが重要です。

国内で多く実施されている尿路変更術は回腸導管ですが、尿管皮膚ろうや自排尿型新膀胱なども行なわれるようになってきました。

手術により起こりうるリスク・合併症

考えられる合併症として、腸閉塞や感染による発熱、腎盂腎炎、手術の傷の離開(縫い合わせた傷が開いてしまうこと)などが挙げられます。多くは抗生物質の投与や適切な処置によって改善します。

しかし、膀胱全摘除術は身体に大きな負担をかける手術です。時として命にかかわるような重篤な合併症が起こる可能性もあります。また、消化管運動障害や性機能障害、腎機能障害などの後遺症が残ることも考えられます。

放射線療法

膀胱がんにおいて放射線療法は治療の第一選択肢とはなりませんが、患者さんが膀胱の摘出を望まない場合や、高齢や体力低下によって手術が困難な場合には放射線療法を選択します。化学療法の効果が望めない浸潤性膀胱がんの場合もそうです。

また、骨に転移した場合に痛みを和らげたり、進行した膀胱がんの出血を抑えたりする場合にも放射線治療を行ないます。

放射線治療によって起こりうるリスク・合併症

代表的な副作用は、照射部位の皮膚や粘膜の炎症、倦怠感や吐き気などです。

こうした副作用は治療を終えると自然に回復するのが一般的ですが、数か月から数年ほど経過してから症状が出現する場合もあります。

化学療法

膀胱がんに対する化学療法には、点滴注射や内服薬で全身に抗がん剤を行きわたらせる全身抗がん剤治療と、膀胱内に抗がん剤を直接注入する膀胱内注入療法があります。

手術をしても転移・再発の可能性が高い場合や、すでに転移がある場合には化学療法が行なわれます。膀胱内注入療法は浸潤性膀胱がんではない場合に積極的に行われる治療法です。

GC療法

ゲムシタビンとシスプラチンという2種類の抗がん剤を組み合わせた化学療法がGC療法です。以前はM-VAC療法という4種類の抗がん剤を組み合わせた化学療法が行なわれていましたが、副作用の少ないGC療法が現在は主流になっているようです。ただし、GC療法では効果がみられない場合はM-VAC療法を選択することがあります。

他にも多くの抗がん剤が膀胱がん治療に対する保険承認を受けているため、今後はさまざまな組み合わせの抗がん剤治療が実施されていくでしょう。

化学療法によって起こりうるリスク・合併症

化学療法の副作用として、吐き気や食欲低下、口内炎をはじめ、白血球や血小板の減少、貧血など重い症状が出ることがあります。

膀胱がんに対する遺伝子治療

基本的にどのような状態の膀胱がんであっても、遺伝子治療を受けることは可能です。膀胱がんは進行度やがんの種類によっては標準治療に限界がありますが、そういった場合でも遺伝子治療であれば問題ありません。

遺伝子治療は健康であれば機能しているはずのがん抑制遺伝子を投与する治療法なので、身体に大きな負担をかけることはありません。したがって、体力が低下して標準治療が難しい場合でも治療を受けられるのが大きなメリットです。

遺伝子治療によって起こりうるリスク・合併症

遺伝子治療は、患者さんの身体に大きな負担をかけないのが大きなメリットです。

薬剤を投与した際に発熱や発疹などの反応がみられる場合がありますが、重症化することは考えにくく、重大な合併症も起こりにくいと思われます。

膀胱がん患者の生存率

5年生存率

対象数 生存状況
把握割合
実測生存率 相対生存率
膀胱がん 13,234 97.9 55.9 68.4
Ⅰ期 7,410 97.6 71.4 87.8
Ⅱ期 2,458 98.3 47.9 59.2
Ⅲ期 1,290 98.1 37.6 45.1
Ⅳ期 1,642 98.4 16.6 19.2

※参照元:国立がん研究センター がん登録・統計:がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計「2010-2011年5年生存率の主な結果」

実測生存率とは、死因に関わらず、すべての死亡を計算に含めた生存率です。膀胱がんの患者さんが、膀胱がん以外の病気による死亡や自然死した場合も数に含まれています。

性別や年齢、地域性といった、がん以外の死因に大きく影響する要因が異なる集団で生存率を比較する場合は、そこを考慮して補正する必要があります。それが相対生存率で、性別や年齢などが同様の集団の期待生存率で実測生存率を割ることにより、がん以外の死因による影響を補正できます。

相対生存率はがん以外による死亡を補正する方法として、がんの生存率の算出に広く使用されているのです。

国立がん研究センターのデータにより、膀胱がんの生存率はステージ3で45.1%の相対生存率が、ステージ4では19.2%まで低下。女性のがん(乳がん・卵巣がんなど)と比べると、やや低い傾向にあることがわかります。

膀胱がんの転移・再発

膀胱がんがリンパ節や他の臓器へ転移してしまうと、手術で膀胱を摘出したとしてもその後の治療の効果はあまり期待できません。前述の全身抗がん剤療法を行なって、可能な限り生活の質を落とさないような治療を選択することになります。

さらに、膀胱がんは何度も再発するのが特徴です。再発を繰り返すと抗がん剤が効かなくなっていくこともあり、そうなると治療は困難になります。

膀胱がん治療の予後・経過観察

膀胱がんの治療が終わったとしても、膀胱がある限り常に再発の可能性があります。経尿道的膀胱腫瘍切除術を受けた後は定期的に通院し、膀胱鏡検査や尿の細胞診で再発の有無を調べる必要があります。初回の治療が終了したら、通常は3カ月後に膀胱鏡検査と尿の細胞診を行ない、以降はリスクの程度によって通院の間隔が変わります。

膀胱を摘出した場合は、手術後2年間は3~6カ月ごと、以降は1年ごとに検査を受けて転移の有無などを定期的に調べます。尿路変更術を受けているのであれば、それがきちんと機能しているか、腎臓に障害が出ていないかなどを都度確認します。

治療後の日常生活

膀胱を摘出する手術を受けた場合は尿路変更がなされていますが、その方法によって排尿の仕方やトラブル時の対応が異なります。患者さんの生活スタイルに合った方法を選ぶことはもちろん、退院前に主治医や看護師などから排尿管理の方法や日常生活上の注意点についてしっかり説明を受けておきましょう。

医療機関によっては、人工膀胱に関するケアを専門とする外来を開設いるところがあります。また、専門的な知識と技術、経験を持った皮膚・排泄ケア認定看護師が在籍している医療機関もあるので、積極的に相談するといいでしょう。

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