遺伝子治療のすべて » 遺伝子治療は受けられる?がんの部位 » 大腸がん

大腸がん

大腸がんは遺伝子治療の対象となるのか、分かりやすく解説しています。

大腸がん患者は遺伝子治療を受けられるのか?

遺伝子治療はさまざまながんに適応があり、もちろん大腸がんの場合にも治療を受けることができます。

正常な細胞が持っているがん抑制遺伝子を投与することで、がん細胞の異常増殖をストップさせてアポトーシス(細胞の自然死)に至らしめるのががん遺伝子治療のメカニズムです。人間本来の力を利用した治療法であるため抗がん剤のような強い副作用がなく、初期がんから末期がんまであらゆる状態のがんで治療を受けられます。大腸がんも例外ではありません。

遺伝子治療が受けられる病院はどこ?

当サイトを監修している「遺伝子治療研究会」は、全国各地100カ所以上のクリニックと連携している組織です。 サイトではその中から2つの遺伝子治療クリニックを紹介しているので、治療を考えている方は参考にしてみてください。

遺伝子治療を提供しているクリニックはこちら

そもそも大腸がんとは

大腸の粘膜に発生する悪性腫瘍が大腸がんで、発生する部位によって大きく結腸がんと直腸がんに分けられます。大腸にはさまざまな部位があり、入り口から時計回りに上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸です。

日本人の大腸がんはS状結腸や直腸に発生することが多く、男女とも40代から増加し始める傾向にあります。身近ながんのひとつといってもいいでしょう。

大腸がんを発症する過程としては、ポリープを放置して悪性化する場合と、最初から悪性腫瘍として発生する場合の2通りです。

大腸がんの原因

大腸がんの発症に大きく関わっていると考えられるのが生活習慣です。特に肉食中心の食生活や過度の飲酒、喫煙により発症リスクは上昇。また、遺伝との関連も注目されており、家族にがんを患った人がいる場合はがんを発症しやすい体質であることが疑われます。

大腸がんの症状

初期の大腸がんでは自覚症状がまったくないことも珍しくありません。進行すると血便や便秘、下痢、腹痛などがみられ、体重減少や下血が続くことによる貧血などさまざまな症状が現れます。がんが大きくなると腹部の膨満感やしこりがみられたり、腸閉塞を引き起こしたりする場合も。

大腸は長い臓器なので、がんが発生した部位によって症状の出方が違います。肛門から近い部位に発生した場合には症状が出やすいので発見も比較的容易です。しかし、肛門から離れると腸管が太いこともあって症状が現れにくく、進行してから発見されることも少なくありません。

大腸がんのステージ(病期)分類

他の臓器のがんと同じく、大腸がんも治療方針を決めるにあたっては進行度や全身状態などを確認し、検討することになります。その進行度を示すのがステージ(病期)分類です。

大腸がんのステージは、がんが大腸の壁にどれだけ深く達しているか、リンパ節に転移しているか、他の臓器に転移しているか、この3つの状態によってステージ0からⅣまでの5段階に分類。ステージⅣに近づくほどがんが進行していると考えます。 大腸がんは手術をしてみて病理検査でさらに詳しいことがわかる場合もあるので、手術の前後でステージが変わるケースもあるでしょう。

病期分類

0期

がんが粘膜内にとどまり、粘膜下層にまで及んでいない最も進行度の低い状態です。

ポリープや0期のような早期がんの治療法としては、がんが粘膜内にとどまっているので内視鏡治療で大腸がんを切除するのが基本です。ただし、腫瘍のサイズが大きくて内視鏡治療を適応できない場合は、医師の判断のもとで手術を行う可能性もあり。また、内視鏡治療後の病理検査でがんが粘膜下層まで浸潤していると診断された場合も、追加で手術が必要となる可能性があります。

Ⅰ期

がんが大腸の壁(固有筋層)にとどまっている状態です。

Ⅰ期の治療では、大腸の壁への浸潤が軽い状態の場合は内視鏡治療によりがんを切除します。大腸の壁への浸潤が深い状態に対しては、内視鏡治療ではがんをすべて切除できない、もしくはリンパ節転移を起こしている可能性があることから、手術で病変部分を含む大腸と転移の可能性がある範囲のリンパ節の切除を実施。内視鏡治療と手術のどちらを取るかの基準としては、がんの大きさが直径2cmを超えるかどうかが一般的な目安になります。

Ⅱ期

がんが大腸の壁(固有筋層)にとどまっており、リンパ節への転移はみられない状態です。

手術によって病変部分を含む大腸と転移の可能性がある範囲のリンパ節を切除します。手術には腹部を15cmほど切って行う開腹手術と、皮膚にいくつか開けた小さな穴から特殊な内視鏡(腹腔鏡)や手術器具を入れてがんを切除する腹腔鏡手術のいずれかを選択。手術後の病理検査で切除したリンパ節にがんの転移がみられる場合は、再発予防として化学療法(抗がん剤治療)が推奨されています。

Ⅲ期

がんが大腸の壁(固有筋層)の外にまで浸潤しており、リンパ節に転移がみられる状態です。

Ⅲ期の治療では、Ⅱ期と同様の治療法が行われます。

Ⅳ期

肝臓や肺に転移する血行性転移、もしくは腹膜にがんが転移した腹膜播種のある状態です。

Ⅳ期の大腸がんの治療は、病状によってさまざまです。肝臓や肺に転移した場合、手術で切除可能であれば積極的に手術が行われます。ただし、転移した場所や転移巣の大きさ・数、身体状態などを考慮し、化学療法や放射線療法が勧められる場合もあり。担当医からしっかりと説明を受け、患者さん本人やご家族でもよく話し合いながら治療方針を検討しましょう。

大腸がんの治療方法

大腸がんに対してはまずは手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)といった、標準治療が行なわれるケースがほとんど。前述のステージや年齢、全身状態などを考慮しながら適切な治療法を選択することになります。

手術療法

大腸がんは完全に取り除くことができれば完治の可能性が高いため、他の臓器に転移がある場合でも積極的に手術を行なうケースが多くあります。早期の大腸がんで転移の可能性が低い場合は、開腹せずに内視鏡を使って身体に負担の少ない手術を行なうことも可能です。

直腸がんの場合は、手術次第で人工肛門を造設しなければならないといった生活に大きな変化を余儀なくされるリスクもあります。

術後の合併症

術後の合併症とは手術の後に好ましくない症状が発生することです。大腸がんの手術の場合は以下のような合併症が考えられ、もし発生した場合はそれぞれの状態に応じて治療を行ないます。

縫合不全

手術の傷のつなぎ目から便が漏れてしまうことです。そうなると腹部臓器を覆っている腹膜に炎症が起こり、発熱や腹痛といった症状が出現します。大腸がんの中でも直腸がんのように肛門に近い部位で腸をつなぐ場合は、他の部位よりも縫合不全が起こりやすくなります。

症状が軽い場合は絶食や点滴治療で治癒することもありますが、腹膜炎を起こした場合は再手術でお腹の中を洗浄して人工肛門をつくることになります。

手術創の感染

手術で切ったお腹のキズ(手術創)を縫い合わせた部分が細菌感染を起こすことがあり、発熱や痛み、腫れて膿が出たりします。抜糸や切開によって膿を出す、抗生物質を投与するなどの治療を行ないます。

腸閉塞

腸の炎症で部分的に癒着(組織がくっついてしまうこと)が起きて腸管の通りが悪くなることを腸閉塞といい、大腸がんの手術の後にも起こることがあります。便やガスが出なくなり、腹痛や吐き気、嘔吐などの症状が出ます。

ほとんどの場合は絶飲食での点滴治療や、鼻からチューブを入れて胃液や腸液を出すことで回復しますが、症状が重い場合は手術が必要になることもあります。

排尿障害

手術の方式によっては、排尿を調節する自律神経に影響が及ぶことがあり、尿意を感じない、残尿感があるなどの症状が出現する場合があります。ひどい場合は尿が出なくなることもあり、多くは薬で改善しますが、細い管を尿道から膀胱に挿入して尿を出す処置(導尿)が必要になることもあります。

排便障害

大腸がんの手術後は、腸を切除した影響で排便が不規則になったり、下痢や便秘・膨満感などの症状が出たりすることがあります。多くの場合は手術後1~2カ月で落ち着くでしょう。

下痢が起こった場合は脱水症状に注意して水分を多めに摂ります。排便やガスがまったくない場合は腸閉塞の前触れの可能性もあります。すぐに主治医に相談してください。

性生活への影響

男性の場合、直腸がんの手術によって骨盤内の性機能に関係する神経を傷つけることで、勃起不全や射精障害などの性機能障害が起こることがあります。

治療で機能が回復する場合もありますので、その場合は主治医に相談してみてください。

放射線療法

がんに高エネルギーの放射線を照射して、がん細胞を死滅させる治療法が放射線療法です。 大腸がんの場合は、直腸がんの手術前に放射線療法を行なうことでがんを縮小させ、人工肛門を回避する治療戦略が一般的。また、手術後の再発を予防する目的で放射線療法を行なうこともあります。

化学療法(抗がん剤治療)

抗がん剤を用いてがん細胞を退治する治療法が化学療法です。大腸がんの治療では手術後の再発予防のために行なう場合と、転移・再発を起こした大腸がんに行なう場合があります。 抗がん剤はがん細胞だけではなく正常な細胞にもダメージを与えてしまうため、さまざまな副作用が現れるのが難点。副作用に対する治療法も進化していますが、完全に副作用を抑えることはできません。

大腸がんに対する遺伝子治療

遺伝子治療は、どのステージの大腸がんであっても実施することが可能です。がんが進行して体力が低下し、標準治療を行なうことができない場合でも、遺伝子治療は身体への負担が少ないため実施できます。標準治療が可能であれば、それと併用することで相乗効果も期待できるでしょう。

遺伝子治療は大きな副作用がないことに加え、人間が本来持っている力を利用した治療法であるため、従来のがん治療と作用がバッティングすることがないのも強みです。

大腸がんの転移・再発

がん細胞が血液やリンパの流れに乗って別の臓器に到達し、そこで増殖するのが「転移」です。大腸がんは肝臓や肺をはじめ、骨や脳など全身に転移する可能性があります。

また、手術で取り切れなかった目に見えないような小さいがんが再び大きくなるのが「再発」です。大腸がんは手術でがんを取りきることができれば他の消化器がんよりも完治の可能性が高いといわれますが、再発するケースも少なくありません。そのため手術後の経過観察が非常に重要です。

大腸がんに関する研究

家族性大腸腺腫症(FAP)患者への低用量アスピリンの効果

注目のポイント

高い確率で大腸がんを発症する家族性大腸腺腫症(FAP)患者に、解熱鎮痛剤として親しみのあるアスピリンを継続的に投与することで、大腸がんになるリスクの高いポリープの発生を抑えることができるという研究結果を、京都府立医科大学大学院医学研究科教授の武藤倫弘医師を中心とした研究チームが発表しました。

研究に至るまでの流れ

アスピリンが、大腸ポリープの発生を抑制することはすでに複数の研究で証明されていて、欧米では3~4年のアスピリンの内服でポリープの発生リスクを減らすことができるということは総意を得ています。2016年には50代~60代に向けて、米国予防医学専門委員会が、大腸がん予防のために低用量アスピリンを毎日服用することを奨励していることからもわかります。

武藤医師らも日本人対象の研究を行っており、同様に効果を発表していましたが、この時の対象患者は家族性大腸腺腫症(FAP)患者ではありませんでした。しかし、FAP患者にもアスピリン投与で効果があるのではないかと当時から考えられていたようです。

研究の成果

FAP患者は60歳までに大腸がんを発症する確率がほぼ100%のため、予防治療として20歳頃に大腸を全摘出します。しかし、生活の質が低下してしまうことなどを理由に手術しないという道を選択する患者さんも増えています。

武藤医師らは大腸を温存しているFAP患者のポリープを可能な限り切除した後、低用量アスピリンを継続的に内服してもらいました。その結果、8カ月間で大腸ポリープの増大リスクが約6割低下という結果が得られました。

本研究がもたらすもの

全摘出しか方法のなかったFAP患者の予防治療に関する今回の研究は、現段階ではまだ対象者が少なくアスピリンを予防薬として承認するに至っていません。これから研究の対象人数を増やし、研究を続けることで日本初のがん予防薬としてFAPだけではなく大腸がんにおいても応用展開されていく可能性があります。

参照元:日本の研究.com「家族性大腸腺腫症患者の治療選択拡大に期待―がん高危険度群に対する初のがん予防薬実用化を目指して―」
https://research-er.jp/articles/view/98108

大腸がんリスク因子「コリバクチン」の化学構造

注目のポイント

大腸がんの患者数は生活様式や食生活の変化によって増え、40年で約7倍にもなっています。静岡県立大学薬学部の渡辺賢二教授の共同研究グループと静岡県立大学発ベンチャーの株式会社アデノプリベントは、その大腸がんの発がんリスクの因子である遺伝毒性物質「コリバクチン」の化学構造の全容解明に世界で初めて成功しました。

研究の成果

大腸がんは比較的進行が遅く、ステージⅠ~Ⅱでは90%が治る病気であるにもかかわらず早期発見が遅れてしまっていました。その理由の一つは、大腸がん検診の1次スクリーニングで行う便潜血検査にあります。便潜血検査免疫法は大量の出血を拾い上げる検査のため、腫瘍が小さく出血がない場合や大きな腫瘍でも出血していない場合は検査をすり抜けてしまう場合があります。

また、痔の出血も陽性となってしまうため「いつもの痔だから」と放置してしまうケースも多くみられます。

しかしコリバクチンを解明したことにより、新たな大腸がんのリスクマーカーとして健康診断等での大腸がんの早期発見に活用できるようになっています。

本研究がもたらすもの

今後は、大腸発がんの予防マーカーとしての精度をより高めていくことで、大腸がんの早期発見に貢献していきます。また、コリバクチン除去による治療法を開発することへの応用にも期待が持たれています。

参考元:PR TIMES「大腸がんリスク因子の特定に期待!世界初コリバクチンの化学構造の全容解明に成功」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000068100.html

参考元:国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計」
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

遺伝子治療を行う
クリニック一覧を見る