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食道がん

食道がんは遺伝子治療の対象となるのか、分かりやすく解説しています。

食道がん患者は遺伝子治療を受けられるのか?

遺伝子治療は食道がんにも適応があります。遺伝子治療はもともと人間の身体に備わったがん細胞の発生を抑制する機能を活かした治療法なので、非常に幅広いがんに適応があり、食道がんも例外ではありません。 正常な細胞が本来持っているがん抑制遺伝子を投与すると、がん細胞の増殖を止めてアポトーシス(細胞の自然死)に至らしめる作用が期待できます。正常な細胞には影響しないので抗がん剤のような強い副作用はなく、体力が低下した末期がんの患者さんでも遺伝子治療を受けることが可能です。

遺伝子治療が受けられる病院はどこ?

当サイトは、全国100カ所以上のクリニックと連携している「遺伝子治療研究会」が監修しています。 国内で遺伝子治療を提供しているクリニックのうちで特に2院を紹介しているので、治療を検討している方は是非とも参考にしてください。

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そもそも食道がんとは

食道の粘膜に発生する悪性腫瘍が食道がんで、消化管に発生するがんの中では悪性度が高い部類に入るといわれています。食道がんは細胞の種類によって、大きく「扁平上皮がん」と「腺がん」に分類。 日本人の食道がんの多くは扁平上皮がんで、食道の内側に存在する平たい形をした扁平上皮細胞に発生します。扁平上皮がんは食道上部から中央部に発生するのが一般的です。 食道の内側には扁平上皮細胞のほかに粘液を産生する腺細胞が存在しますが、そこに発生するのが腺がんです。腺がんの多くは食道下部や胃の入り口近くに発生します。

食道がんの原因

食道がんの原因に挙げられるのは飲酒と喫煙、そして甘いものや辛いものなどの嗜好品です。1日30本以上のたばこを吸う人や適量以上の飲酒をしている人は、そうでない人の40倍もリスクが高まると言われています。 特に扁平上皮がんは飲酒と喫煙が大きな原因になると考えられ、両方ともされている方であればさらに高リスクです。

また、腺がんは胃酸が食道に逆流する逆流性食道炎も原因になると考えられています。加えて肥満や喫煙、肉食中心の欧米型の食生活も逆流性食道炎を誘発するので、これらも腺がんの危険因子といえるでしょう。

食道がんの症状

食道がんは初期の場合に自覚症状が現れることはほとんどなく、早期発見が困難ながんのひとつ。初期の食道がんの場合は人間ドックや検診などで偶然に発見されるケースが多く見られます。 がんが進行してくると、飲み込みがつかえたりしみたりする感じがしたり、声がかすれたりする自覚症状が発現。さらに体重減少などもみられるようになります。

食道がんのステージ(病期)分類

多くのがんは進行の度合いや身体の状態などから治療方針を決めていきますが、それを分類するのに使われるのがステージ(病期)です。食道がんの場合はステージ0期からⅠ~Ⅳ期の5段階に分類され、ステージが上がるほどがんが進行していると考えます。 ステージは決定するのは3つの因子。がんが食道壁にどのくらい深く及んでいるかを示すT因子、リンパ節への転移の程度を示すN因子、他臓器への転移の有無を示すM因子です。これらの組み合わせでステージを判断します。

病期分類

0期

がんが食道粘膜内にとどまっている状態です。

0期であれば、内視鏡治療でがんをすべて取り切れる可能性が高くなります。ただ、0期であっても病変の範囲が広ければ治療後に食道が狭窄してしまう可能性があります。その可能性が高い場合は手術や化学放射線療法が選択されます。

Ⅰ期

がんが食道粘膜下層にとどまっている状態です。

Ⅰ期であれば治療は手術が第一選択肢になります。しかし、食道がんの手術は身体的な負担が高いため、実施が困難な場合は化学放射線療法が選択されます。手術ができたとしても、手術後の病理検査の結果によっては再発予防のための抗がん剤治療を行なう場合があります。

Ⅱ期

がんが固有筋層から食道外膜に浸潤している状態です。また、がんが固有筋層にとどまっていても第1群リンパ節に転移がある場合、がんが粘膜下層にとどまっていても第2群リンパ節に転移がある場合もⅡ期とされます。

※ちなみに日本の「食道癌取扱い規約」では、食道がんが発生する部位に応じて転移しやすい順に1群、2群、3群とリンパ節が群分けされています。

Ⅰ期と同様、手術できるかどうかの判断が重要です。手術可能であれば、多くの場合は手術前に抗がん剤治療を行なってがんを小さくし、完全に取り切れる可能性を高めることを目指します。手術が難しければ化学放射線療法が選択されます。

Ⅲ期

がんが周辺臓器や血管、神経に浸潤している状態です。また、がんが食道外膜までの浸潤でも第3群以下のリンパ節に転移がある場合、がんが固有筋層にとどまっていても第2群か第3群のリンパ節に転移がある場合、がんが粘膜または粘膜下層にとどまっていても第3群リンパ節に転移がある場合もⅢ期とされます。

治療は基本的に2期と同様です。

Ⅳ期

がんが第3群を超えたリンパ節に転移している状態、またはがんが大動脈や気管など重要な臓器に浸潤している状態です。離れた臓器に転移している場合もⅣ期とされます。

Ⅳ期は手術でがんを取り切れる可能性が低いため、多くの場合は化学放射線療法が選択されます。遠隔転移がある場合は全身をカバーできる抗がん剤治療が選択されますが、この場合は根治が難しく、症状緩和や延命が目的になります。

がんが進行して食道が狭くなった場合は、食べ物が通るように手術で食道ステント(筒状の器具)を設置したり、放射線治療でがんを縮めたりすることもあります。

食道がんの治療方法

国内におけるがんの標準治療は手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)とされ、併せて三大治療とも呼ばれています。食道がんもこれらが治療の基本。 もちろんステージや全身状態にもよりますが、食道がんの場合は手術療法が第一選択肢となり、状況に合わせて放射線療法や化学療法を併用していきます。

手術療法

手術療法は食道がんのもっとも標準的な治療法で、がんに侵された食道と併せて周辺のリンパ節も一緒に切除するのが一般的です。 近年では患者さんの身体的負担を軽減させるために、あらかじめ化学療法でがんを小さくしてから内視鏡でがんを切除する手術法も行なわれるようになってきました。

頸部食道がん

頸部食道がんは食道がんの中でも比較的まれに発生するがんです。頸部周囲のリンパ節転移が多く、手術の際はがんのある頸部食道と周囲のリンパ節を切除します。その後は、小腸の一部や胃を使って食道を再建します。

がんの部位と大きさや深さによっては、のど仏(喉頭)まで一緒に取る場合があります。呼吸をする気管の入り口(永久気管孔)が首にでき、声帯がなくなるため声を失いますが、発声法の習得や補助器具(電気式人工喉頭など)を用いることで会話は可能になります。

胸部食道がん

胸部食道がんの手術では一般的に、食道とその周りのがんが転移している可能性のあるリンパ節を取り除き、さらに胃や腸を使って新たな食道に代わりを再建させなくてはいけません。そのため、頸部・右胸部・上腹部を切開し手術を行います。

他にも、胸腔鏡や腹腔鏡手術を用いる方法も行われています。開胸・開腹手術とは違い、小さな穴を数ヶ所開けるだけで済む方法なので、体への負担は少なくなります。各手術法には長所短所がそれぞれあるので、担当医とよく相談することが望ましいでしょう。

腹部食道がん

食道と胃の境目から上下2cmの食道胃接合部領域の中に、腫瘍の中心があるがんを腹部食道がん(食道胃接合部がん)と呼びます。腹部食道がんの手術は原則は胸部食道がんと同様の手術を行います。

しかし、胸部食道がんとも胃上部がんとも異なるリンパ節転移をするため、リンパ節の郭清範囲には特殊な配慮をすることになります。術式は、食道の下部と胃の上半分または胃の全部を切除する方法があります。胃の切除範囲も強く推奨している明確なガイドラインはなく、術式や切除範囲は状況や施設の方針により変わるので担当医によく確認しましょう。

手術療法後のリスクや副作用

食道がんの手術は、頸部・胸部・腹部の広い範囲を同時に行う大がかりな手術です。切除部位やリンパ節郭清を行う箇所の近くには、大きな血管や複数の神経も走っています。がんの手術の中でも難易度が高く、縫合不全・肺炎・嗄声など手術後の合併症が起こる場合があります。

縫合不全

食道を切除した後に、胃や腸を残った食道に縫い合わせて食道を再建します。そのつなぎ合わせた部分がうまくつながらなかった場合、つなぎ目から消化液や食べ物が漏れ、炎症を起こして痛みや熱が出ます。再手術が必要になる場合もあります。

肺炎

手術後は寝ている姿勢でいることが長く、創部の痛みもあるので肺の奥の痰を自力で出しづらくなり、肺炎を起こしやすくなります。また、手術直後は飲み込む力も落ちるので、誤嚥しやすくなるのも肺炎を起こす要因の一つになります。

嗄声

食道がんの手術では、リンパ節郭清の際に声帯をコントロールする反回神経に触ります。このため反回神経麻痺がおこり、声がかすれる嗄声の症状が出たり、飲み込みづらく誤嚥しやすくなったりします。多くは3〜6ヶ月程度で回復します。

内視鏡治療

切開する手術と違い入院期間も短くて済み、後遺症や体への負担の少ない内視鏡。しかし、どのような状態にでも適応できるわけではありません。内視鏡的切除術の適応は粘膜下層深部や固有筋層への浸潤のない、初期の食道がんのみに行われます。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、病変の下の粘膜下層に生理食塩水を入れるなどして病変部をポリープ状に変形させ、内視鏡の先端から円形の電気メスを出し切除する方法です。

短時間で行うことができますが、大きなものは切除できず正確な切除が難しいのが欠点です。麻酔下で行い、術後1~2日は絶食になります。入院は1週間前後になります。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、内視鏡の先端から特殊な電気メスを出し、切除範囲の周囲につけたマーキングを目印に粘膜層から病変ごと切除する方法です。EMRよりも大きな病変に対応でき、内視鏡で行う食道がんの手術の90%近くはESDで切除されています。麻酔下で行い、術後1~2日は絶食になります。入院は1週間前後になります。

内視鏡治療後のリスクや副作用

治療後は出血が起こる場合があります。抗凝固薬や抗血小板薬を内服している場合は、注意が必要です。また、食道壁は薄いため、低い確率ですが治療中に孔があくこともあり、クリップ閉鎖術で治療されていました。

内視鏡的切除術では病変のみの切除になるので、再発の可能性があります。禁酒・禁煙で再発のリスクを下げ、定期的に検査を受けるようにしましょう。

放射線療法

高エネルギーの放射線を照射してがん細胞を死滅させるのが放射線療法です。 放射線療法にはがん細胞を消失させて根治を目指す場合と、痛みなどの症状を抑えることを目的とする場合があります。後者の場合、食道がんであれば飲み込みを楽にするなどの症状緩和を期待して実施し、原則として根治は目的としません。

根治照射

放射線療法で根治治療を目指すには、病変が局所あるいは領域リンパ節にとどまっていることが条件になります。手術とは違い食道を温存する治療法なので、治療後の負担は少なくて済みます。一般的に治療は、5週間から6週間半程度で行われます。

内視鏡治療後や手術前後に根治を目指すための補助療法として、また局所進行例で手術を希望しない場合にも放射線療法を行うことがあります。

緩和照射

がんの進行の程度によって、痛みや食道が狭窄して日常生活に苦痛を生じることがあります。そういった場合に、つらい症状を和らげるために放射線を照射することを事を、緩和照射と呼びます。緩和的放射線治療は、病状や全身状態によって治療期間が異なってきますが、一般的には2~3週間前後となります。

放射線療法後のリスクや副作用

治療中の主な副作用は、食道の照射された部位の炎症による痛み・飲み込むときの違和感や痛み・つかえ感などです。治療開始後2~3週間、長い方では5週間くらい続きます。

その他には、皮膚の乾燥や治療部位の炎症による赤み・かゆみ、白血球減少などが見られます。副作用の程度は個人差が大きく、程度の強さによっては中断することもあります。いずれも状態をしっかりと観察しながら治療は行われていき、通常は治療終了後2~4週間程度で改善します。

放射線治療では、治療後数ヶ月から数年後に出現する晩期障害と呼ばれる副作用が起こることがあります。照射部位が心臓や肺や甲状腺が含まれている場合、心臓や肺の周りに水が溜まる心のう水貯留や胸水貯留、その他肺炎・心外膜炎・甲状腺機能低下などが起こることがあります。治療後も継続して定期的な診察を受けていくことが必要です。

薬物療法(抗がん剤治療)

抗がん剤を投与してがん細胞を縮小させる治療が化学療法です。抗がん剤は全身に行きわたるため、手術療法や放射線療法でカバーできない部分にも効果を期待することができるのでしばしば併用されることも。 すでに食道がんが他の臓器に転移している場合は、延命を目的として化学療法が行なわれる場合もあります。

5-FU+シスプラチン療法(CF療法)

5-FUとシスプラチンの組み合わせは、食道がんの化学療法で第一選択肢として最も多く用いられる併用療法です。

一般的には1週間ほどの入院の中で約5日間の点滴治療を行い、3~4週間ごとに繰り返す方法になります。術前に行う場合や放射線治療との併用で行う場合は、治療の間隔などが変わります。

抗がん剤を投与後、2~3ヶ月毎にCT検査などで効果が見られたかどうかを判断し、継続するか薬剤を変更するかなど治療計画を見直していきます。

5-FU+シスプラチン+ドセタキセル療法(DCF療法)

5-FU+シスプラチン療法(CF療法)に、ドセタキセルを加える治療法です。リンパ節への転移やがんが深くまで進行している場合、頸部食道がんでは腫瘍を小さくしておくことで声を残した手術が可能になる場合など、手術前の短い期間で腫瘍を小さくしたい場合に多く用いられます。

ドセタキセル単独療法もしくはパクリタキセル単独療法

5-FU+シスプラチン療法の効果が無くなった場合には、ドセタキセル単独もしくはパクリタキセル単独を用いることが推奨されています。薬剤を変えることで、腫瘍が増殖するのを抑えることができる可能性も。それぞれ1時間から1時間半程度の点滴を毎週あるいは、2~3週毎に繰り返すので、多くの方が外来で治療を受けます。効果については2~3ヶ月毎にCT検査などを行い、判定します。

薬物療法後のリスクや副作用

抗がん剤はがん細胞だけではなく正常な細胞にも影響を及ぼします。とくに新陳代謝の活発な口腔・胃や腸などの粘膜、血液を作る骨髄、毛髪部分の細胞は影響が大きくなり副作用が生じます。

副作用の起こり方や程度には個人差がありますが、主な副作用の症状は、口内炎・食欲不振・悪心・嘔吐・抵抗力が低下し感染しやすくなる・貧血・脱毛・倦怠感が続く・手足がしびれるなどです。つらい副作用ですが、軽減させる方法も進歩してきています。

食道がんに対する遺伝子治療

どのようなステージの食道がんであっても遺伝子治療を受けることができます。がんが進行して標準治療に適応がない場合でも基本的に問題ありません。 遺伝子治療は人間が本来持っているがん細胞に対抗する力を活かした治療法です。身体に大きな負担を強いることなく、目立った副作用もないことが遺伝子治療の幅広い適応の大きな理由です。

遺伝子治療のよるリスクや副作用

治療の特性上、化学療法のような激しい副作用はありません。とくに近年、安全性の向上と副作用の少ない治療法の改善が進歩しています。

軽い副作用として、風邪症状のような軽い発熱・鼻水、下痢・吐き気、発疹や軽度の白血球減少があります。また、腎機能障害・骨髄抑制・重度のアレルギー症状・血液凝固障害の報告もごくまれに見られたとの報告もあります。

リスクがゼロの治療はありません。医師からの説明はリスクや副作用についてもしっかりと確認しましょう。

食道がんの転移・再発

がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗って他の臓器に移り、そこで増殖することを転移といいます。手術でがん細胞をすべて取りきれたように見えても、すでに他の臓器に移っている可能性は否定できません、 また、治療でがんが目に見えないくらい小さくなったとしても、再びがんが出現することを再発といいます。食道がんの再発の多くは1年以内に発見されるとされ、この期間は特に注意して経過観察を行なうことが必要です。

参照元:日本食道学会「食道がんを正しく知ろう」

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