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肝臓がん

肝臓がんは遺伝子治療の対象となるのか、分かりやすく解説しています。

肝臓がん患者は遺伝子治療を受けられるのか?

遺伝子治療の幅広い適応の中には、もちろん肝臓がんも含まれています。 遺伝子治療はもともと人間に備わっている本質的な力による治療法です。がんに対して遺伝子レベルで作用してアポトーシス(細胞の自然死)に導きます。 手術療法や放射線療法、化学療法といった標準治療と併用することも可能。むしろ併用することで相乗効果を期待できるのも遺伝子治療の特徴です。正常な細胞にダメージを与えることがないので副作用も少なく、基本的にどんなステージの肝臓がんでも治療を受けることができます。

遺伝子治療が受けられる病院はどこ?

当サイトをの監修に関わっている「遺伝子治療研究会」は、全国100カ所以上のクリニックと連携する研究会。 このサイトでは遺伝子治療を提供する多くのクリニックの中から特に2院を選び、紹介しています。治療を検討している方はぜひ参考にしてください。

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そもそも肝臓がんとは

肝臓の細胞ががん化して発生した悪性腫瘍が肝臓がんですが、一般的に肝臓がんとはこの「肝細胞がん」のことをいいます。 肝臓がんは組織の種類によって高分化がん、中分化がん、低分化がん、未分化がんに区別されており、中でも低分化がんと未分化がんは活発に増殖するがん細胞です。組織による区別のほか肉眼による分類も行なわれ、がんがひとつひとつのかたまりになっている結節型、がんが肝臓の一葉を占めるような大きな塊状型、がんが肝臓内に細かく散らばっているびまん型に分けられます。 日本で新たに肝臓がんの診断を受ける患者さんの多くは高齢者。男性が女性の約3倍と多くなっています。

肝臓がんの原因

肝臓がんは、肝炎ウイルスの持続的感染が主な原因だと考えられています。肝炎ウイルスが体内に存在していると肝臓の細胞が炎症と再生を繰り返し、それに伴って遺伝子が変異。細胞ががん化するのです。 これ以外の原因としてはアルコールの過剰摂取や喫煙、肥満、糖尿病などが挙げられます、男性であることもリスクを高める要因のひとつだと言われています。肝臓がんの診断を受ける男性が女性の3倍も確認されているからです。近年は肝炎ウイルスに感染していない肝臓がんも増加しており、その原因のひとつとして脂肪肝が着目されています。

肝臓がんの症状

肝臓がんは初期の自覚症状がほとんどありません。そのため肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、気づいたときにはがんが進行していることも少なくありません。人間ドックや他の病気の治療中などに偶然発見されるケースも多いので、異常の可能性を指摘された場合は必ず精密検査を受けるようにしたいものです。 肝臓がんが進行すると、腹部のしこりや圧迫感が出てきます。肝臓自体は痛みを感じない臓器ですが、がんが大きくなると肝臓を覆っている膜が伸ばされて強い腹痛を覚えることもあります。

肝臓がんのステージ(病期)分類

肝臓がんにも他の臓器のがんと同様に、進行度を測るステージ(病期)分類があります。ステージはがんのサイズや数、転移の有無のほか、がんが血管を巻き込んでいるかどうかも根拠のひとつです。Ⅰ~Ⅲ、Ⅳa、Ⅳbの5段階に分類されます。このステージによって治療方針や予後の見通しが立つので、肝臓がんの治療において非常に重要な指標です。

また肝臓がんの病期の分類には複数の種類があり、多くの医師は日本肝癌研究会で作成された「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約」や、国際的に使用されている「TNM悪性腫瘍の分類」を用いて分類します。分類法によっては同じ病期でも内容が異なる場合があるため、注意が必要です。

ここでは前者の「臨床・病理 原発性肝癌取扱い規約」の分類を紹介します。

病期分類

Ⅰ期

いわゆる初期の肝臓がんで、以下の3つの条件すべてを満たす場合はⅠ期とされます。

  1. 腫瘍がひとつに限られる
  2. 腫瘍の大きさが2cm以下である
  3. 門脈や静脈、胆管に腫瘍が広がっていない

Ⅰ期はリンパ節や離れた臓器に転移もありません。

Ⅱ期

Ⅱ期の肝臓がんは、上記1~3のうち2項目を満たす場合です。

Ⅰ期と同様、リンパ節や離れた臓器に転移はありません。

Ⅲ期

Ⅲ期の肝臓がんは、上記1~3のうち1項目しか満たさない場合です。

Ⅲ期もまだリンパ節や離れた臓器に転移はありません。

Ⅳa期

Ⅳa期の肝臓がんは、上記1~3のいずれも満たさない場合です。

また、1~3にかかわらずリンパ節転移がある場合は無条件でⅣa期に分類されます。

Ⅳb期

これまでの分類にかかわらず、離れた臓器に転移がある場合は無条件でⅣb期に分類されます。

肝障害度

肝臓がんの治療法を選択する場合は、病期のほか肝臓機能の障害の程度も確認します。これを肝予備能(肝臓の機能がどの程度保たれているか)といいます。

肝障害度はA~Cの3段階に分けられ、Cがもっとも肝障害が進行していることを表します。各項目別に、肝機能の数値や腹水の有無などによって重症度が決まりますが、同じ病期であっても肝障害度が違うと治療法も変わってきます。

また、肝硬変の程度を把握するためにChild-Pugh(チャイルド・ピュー)分類という方法が用いられる場合もあります。

肝臓がんの治療方法

肝臓がんに対しては、手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤治療)といった標準治療が基本です。 ステージや全身状態などを考慮して治療法を選択していくことになりますが、複数の治療法を組み合わせることも多く実施されています。

手術療法

肝臓がんに対しては、可能であれば積極的に手術が行われます。重要な血管である門脈が関わる部分ごとに肝臓を区分して切除範囲を決定し、安全性を第一に考えてがんを切除。 がんの状態によって有効だと考えられる場合は、ラジオ波焼灼療法やエタノール注入療法などの局所療法を行ないます。

肝切除

肝切除の手術は、肝臓がんとその周りの組織を取り除く治療法です。

肝機能低下がそれほどなく、肝臓の一部にがんが限局している人に適した治療法と言われています。がん組織の部位や肝機能によっては、キズが小さく出血量が少ない腹腔鏡手術が可能ですが、ほとんどのケースは開腹術が採用されています。

「系統的肝切除法」という腫瘍に近い門脈周辺の肝臓を切除する方法と、肝組織をできるだけ温存する「肝部分切除法」があります。

腹水がある人の場合は、術後に肝不全の危険性が高くなるために、肝切除以外の治療が検討されるようです。

肝移植

肝移植は、脈管への広がりや転移がない患者を対象に、臓器提供者(ドナー)から肝臓を移植する方法です。

健康な人から肝臓の一部を提供してもらう「生体肝移植」と、亡くなった人から提供される「脳死肝移植」の2種類ありますが、日本においては近親者からの「生体肝移植」が中心です。

ドナーの続柄や年齢、健康状態、肝臓の大きさと機能、血液型などを慎重に検査してから実施されます。肝臓は門脈や肝静脈などの血管とのつながりや、周りの臓器とのつながりがある臓器です。それらと切り離して抽出して移植するので、繊細で高い技術力が必要と言われています。

手術療法後のリスクや副作用

肝切除の手術後は1~2週間で退院できますが、手術した箇所から出る血液などを排出する管(ドレーン)が外せるまで1カ月ほどかかる場合があるようです。

肝移植については手術による「合併症」や、ドナーの肝臓による「拒絶反応」などのリスクが懸念されます。また移植後は、拒絶反応を抑えるための免疫抑制剤が不可欠になりますが、免疫力が低下することで「感染症」を起こしやすくなるのも懸念される点です。他にも腎障害や心障害、糖尿病、四肢のしびれ、高血圧などの副作用の心配があります。

※参照元:国立がん研究センター がん情報サービス「肝細胞がん」

穿刺局所療法

穿刺局所療法は、体外から針を刺して局部的な治療をする方法で、日本人医師が開発して世界に広まりました。

一般的に穿刺局所療法の対象は、がんの大きさが3cm以内で3個以下の場合で、腹水の状態や血清、プロトロンビン活性値などによって適応の有無が決まります。外科手術より体へのダメージが少ないのが特徴です。

ラジオ波焼灼療法(RFA)

ラジオ波焼灼療法(RFA)は、皮膚から長い針を腫瘍部位に差し込み、ラジオ波という電磁波を流して腫瘍を熱凝固させる治療法です。

腫瘍の位置を確認しながら正確な位置まで針を到達させ、ラジオ波を照射します。太ももなどに対極板を張り付けて、針の電極との間で電流が流れるようにしておきます。

基本的に超音波やCTなどを使って、皮膚正面から針を局部に差し込みますが、場合によっては内視鏡や開腹して直接腫瘍に電極針を刺す方法もあるようです。ラジオ波焼灼療法は複数回にわたり実施されます。

穿刺局所療法後のリスクや副作用

ラジオ波の熱によって、皮膚に火傷が生じることがあります。また他の臓器に近いところに肝腫瘍があるケースは、他の臓器を熱傷させてしなうことも。治療後は、痛みや発熱が数日間続くことがあります。

塞栓療法

塞栓療法とは、大動脈から肝動脈へカテーテルを入れながら腫瘍の治療を行う方法です。肝動脈化学塞栓療法(TACE)と肝動脈塞栓療法(TAE)の2種類あり、がんの範囲が広い場合は複数回の治療が必要です。

肝動脈塞栓療法(TAE)

がん細胞が成長するには、血液からの栄養が不可欠です。肝動脈塞栓療法(TAE)とは、がんに栄養を運ぶ血管をふさぎ、がんの栄養源を絶つ兵糧攻めの方法です。

カテーテルから造影剤を注入して血管造影を行い、画像を確認しながらがんに栄養を与えている血管を特定。その血管に塞栓物質送り込み血管を塞ぎます。

肝動脈化学塞栓療法(TACE)

肝動脈化学塞栓療法(TACE)は、上記のTAEに抗がん剤治療を加えたものです。

カテーテルから造影剤を注入して腫瘍場所を特定し、そこに抗がん剤を注ぎ込んだ後に塞栓物質を送り込み血管をふさぎます。「抗がん剤+兵糧攻め」という2つの方法を併せたTACEは、現在塞栓療法の要になっています。

肝動注化学療法(TAI)

肝動注化学療法(TAI)は、カテーテルで血管造影を繰り返してがん細胞を特定し、抗がん剤のみを送り込む方法です。その後血管をふさぐことはしません。

塞栓療法後のリスクや副作用

塞栓療法後は、発熱や吐き気、食欲不振、痛みといった副作用が生じることがあります。これらの症状は、医師の中では「塞栓後症候群」と呼ばれ、がんが死滅して免疫反応が起こっている好反応としてとらえられています。

術後の入院は1週間ほどで、その後も定期的に受診して腫瘍を確認していきます。

※参照元:がん研有明病院「肝臓がん」

放射線療法

肝臓がんに対する放射線治療は転移した場合に行なわれることはありますが、これまでは標準治療として確立していない部分もありました。 近年注目されているのは先進医療である陽子線や重粒子線による放射線治療です。強い放射線をピンポイントで照射することでがんを死滅させ、身体への負担が少ない治療法だと考えられています。

陽子線治療

最も軽い水素原子の原子核を、光の速さの60%~70%に加速したものを「陽子線」と呼び、その陽子線を腫瘍に照射するのが陽子線治療です。陽子線治療は線量に応じた深さで止まるため、病巣だけをターゲットに強い放射線を当てられるのが特徴です。

例えば4cmを超えるがんの場合、すでに肝臓内の血管などにがん細胞が広がっているため肝切除治療や塞栓療法は不適応とされます。また外科的手術は年齢や身体的に耐えられない人もいるでしょう。そういった患者さんに提案されるのがこの治療法です。ただし10cm以上の大きさのがんは、放射線外になるため適さないようです。

どの程度の線量を何回照射するかは、がんの位置や状態によって個人差があり、治療期間も2~3週間から2カ月間まで差があります。

※参照元:神戸陽子線センター「陽子線治療 肝臓がん」

※参照元:国立がん研究センター 東病院「分野別治療方針 肝細胞がん」

重粒子線治療

重粒子線治療は、重粒子線がもつ強いパワーをがん細胞にぶつけて増殖を抑制してがんを死滅させる治療法です。重粒子は幾つかありますが、がん治療に利用するのは炭素イオンなので「炭素イオン線」と呼ぶこともあります。

重粒子は、陽子線と同じ「粒子線」の仲間で陽子線と同様に線量に応じた深さで止まります。止まる直前に強いパワーを放出するため、がん病巣にターゲットを定めて線量を照射できるのが特徴です。

陽子線との異なる点は「破壊力」。重粒子のほうが陽子線より質量が大きく、破壊力は2~3倍にも上がるといいます。

重粒子線治療に適応するかは、事前の診察と検査で判断されます。肝機能が中レベルに保持されていて、がんが一カ所に固まっていること。また大きさが3cm以上13cm以内であることなどが対象条件です。1日1回の照射を2日間から4日間実施するのが一般的です。

放射線療法後のリスクや副作用

放射線による治療後は、脱水症状や疲労感を感じやすくなります。2~3週間後に日焼けのような皮膚障害を起こすことがありますが、その他の副作用は比較的軽いと言われています。

まれに重粒子などが肺や肋骨にあたるなどして、肺炎や骨がもろくなるというリスクもあるようです。

※参照元:QST病院「肝臓がんに対する重粒子線治療について」

薬物療法

分子標的治療

際限なく増殖を続けるのががん細胞ですが、増殖するには特定の因子が存在します。その因子(特定の遺伝子やたんぱく質)だけにターゲットに定め、増殖を抑制しようという治療が分子標的治療です。それに用いる薬を「分子標的薬」と言い、肝臓がんには「ソラフェニブ」の服用が一般的です。

薬物療法後のリスクや副作用

よくある副作用は、手足の感覚が鈍くなる、または過敏になる、四肢の腫れや痛み、高血圧、下痢、疲労感、アレルギーなどです。日常生活を続けながら1日2回、2錠を飲み続けるため自己管理が必要になります。

化学療法

これまで肝臓がんには有効な抗がん剤が少なく、化学療法が選択されることはありませんでした。しかし、がん細胞の増殖やがん細胞に栄養を供給する血管がつくられるのを抑制する分子標的薬が開発され、これが標準治療となりつつあります。 他の治療法が不可能な進行性の肝臓がんで、肝臓の機能が保たれている場合に行われるのが分子標的薬による化学療法です。

肝臓がんに対する遺伝子治療

どのステージの段階であっても、肝臓がんに対して遺伝子治療を行なうことは可能です。標準治療に適応がない肝臓がんでも問題ありません。もちろん標準治療と併用することも可能で、むしろ併用することで相乗効果が期待できます。 遺伝子治療は人間が本来持っているがん抑制遺伝子を投与する治療法のため、抗がん剤のような副作用がなく、身体に大きな負担をかけることはありません。そこが遺伝子治療の大きな強みのひとつです。

遺伝子治療のよるリスクや副作用

治療による副作用が低いのが遺伝子治療の特徴です。それでも人によっては軽度の発熱や嘔吐、アレルギー反応があるようです。また遺伝子治療は新しい医療のために、将来的見解が未知数です。例えば長期にわたって治療を続けると、がん細胞の抗原性が変異して効果が低下するなどの可能性も指摘されています。

肝臓がんの転移・再発

がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗って他の臓器に到達し、そこで増殖して大きくなることを転移といいます。また、治療によってがんが目に見えなくなったとしても、時間をおいて再びがんが出現するのが再発です。 肝臓がんの場合、手術を行なっても再発する場合はそのほとんどが肝臓内に発生するパターン。がん細胞が肝臓内の血管を移動して肝臓内での転移を起こしたり、手術で残した肝臓から新たにがん細胞が発生したりすることが原因だと考えられます。

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