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皮膚がん(メラノーマ)

皮膚がん(メラノーマ)は遺伝子治療の対象となるのか、やさしく解説します。

皮膚がん患者は遺伝子治療を受けられるのか?

皮膚がん(メラノーマ)の患者さんも遺伝子治療を受けることは可能です。その幅広い適応範囲は臓器のがんだけではなく、皮膚がんも含まれます。

がん遺伝子治療は、健康な状態であれば正常に働くはずのがん抑制遺伝子を投与する治療法です。一般的ながん治療とはメカニズムが異なるので目立った副作用もなく、併用しても治療効果が損なわれることはありません。むしろ、お互いの治療効果を高めることも期待できるのです。

治療対象の除外基準

遺伝子治療が受けられる病院はどこ?

当サイトを運営している「遺伝子治療研究会」は、全国の複数クリニックと連携して遺伝子治療を提供しています。

その中でも皮膚がんに対する遺伝子治療を受けられるクリニックを複数紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

遺伝子治療を提供しているクリニックはこちら

そもそも皮膚がん(メラノーマ)とは

皮膚に発生する悪性腫瘍が皮膚がんです。

皮膚は表皮、真皮、皮下脂肪の3層で構成され、表皮の角化細胞をはじめとして汗腺や脂腺、毛、血管やリンパ管、神経、筋肉などさまざまな組織の集合体ともいえます。そのため皮膚がんの種類は非常に多いのですが、その中でも悪性度が高い皮膚がんとして悪性黒色腫(メラノーマ)が比較的よく知られているようです。このメラノーマは「ほくろのがん」ともいわれています。

皮膚がん(メラノーマ)の原因

皮膚がんの種類によって原因は異なりますが、一般的には長期にわたって紫外線を浴び続けていることが発症リスクを高めるとされています。メラノーマは白色人種の発症率が有色人種よりもずっと高く、紫外線が強い地域に暮らす白色人種はさらに発症率が高くなるというデータもあり、紫外線の影響が強いことを裏付けています。

日本人の場合は紫外線の影響をあまり受けない手や足の裏などに発生することが多く、紫外線の影響は少ないと考えられています。とはいえ、過度な日焼けは避けるべきでしょう。実際に日焼け止めなどで紫外線をカットすることで、日光を浴びた部位の発症率が低くなる傾向がデータとして存在します。

また、手や足の裏は普段から刺激を受けやすい部位です。したがって、外部からの刺激も発症リスクのひとつと考えられるでしょう。

皮膚がんの種類

皮膚がんには幾つか種類があります。こちらでは、悪性黒色腫(メラノーマ)をはじめ、主な皮膚がんについて紹介していきます。

悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫とは、基底層にある色素細胞(メラノサイト)ががん化したものです。悪性度の高いがんと知られ、黒っぽい色素斑が生じるのが特徴です。メラノーマの初期段階はホクロと見分けがつきにくいのが難点ですが、早めに治療ができれば治る可能性も期待できます。

メラノーマを分類すると次のようになります。

色素細胞ががん化するメラノーマですが、紫外線との関係が考えられるものと、無関係に生じるタイプがあります。

基底細胞がん

基底細胞がんは、日本人の皮膚がんの中でも高い頻度で発生するがんです。

基底細胞とは、表皮の一番下の層に位置し、皮膚細胞が新しく形成されるときに重要な役割を持つ細胞です。その基底細胞に含まれるDNAが、何らかの原因(紫外線や放射線など)により傷がつくことで発症すると想定されています。

疾患者は高齢の人に多く、顔面や頭部、首など、日差しの影響が高い部位に発生することが多いのですが、それ以外の部位で発生することもあります。初期症状は、痛みやかゆみがなく黒褐色に少し盛り上がっているだけなので、ほくろと勘違いされやすいのが特徴です。転移するケースは少ないものの、治療後に再発する懸念があるがんとされています。

有棘細胞がん

有棘(ゆうきょく)細胞がんは、表皮の中間層である有棘層から発症するがんです。

基底細胞がんに次いで多い頻度で発生する皮膚がんで、紫外線の関与が高いと言われています。不整形の皮膚の盛り上がりや、出血を伴う潰瘍などの症状が見られるのが特徴です。

有棘細胞がんになる前駆症的ながん病変には、次のようなものがあります。

パジェット病

汗器官に由来する、細胞ががん化した表皮内がんの一種です。高齢者に発生することが多く、乳頭や乳輪、腋の下や陰部に生じます。はじめは表皮だけに赤く湿った感じの病変が生じ、次第に表面にかさぶたができたりします。進行すると腫瘍細胞が真皮まで浸潤してしまいます。

パジェット病を引き起こす原因ははっきりと判明しておらず、治療をしても転移や再発の懸念があるようです。

※参照元:Medeical Note「皮膚がんの種類と表情を写真で解説!ほくろとシミとの違いは?」

※参照元:国立がん研究センター がん情報サービス「皮膚がんの分類」

皮膚がん(メラノーマ)の症状

メラノーマは最初、黒いしみのようなものから始まります。それが徐々に不規則な形に広がったり、色にむらができたり、結節を形成していったりします。

初期のうちは単なるほくろやしみのように見えるので、がんとの違いは素人目にはわからないでしょう。形が左右非対称だったり、その輪郭がギザギザしていたりするとメラノーマが疑われます。正常な皮膚との境界線が不明瞭だったり、だんだん大きくなったりするのもメラノーマの症状です。

皮膚がん全般にいえることですが、初期段階で痛みを感じることは基本的にありません。

皮膚がんのステージ(病期)分類

治療方法を検討するために、がんは進行度合いなどからステージ(病期)として分類されます。これは皮膚がんも同様です。

ステージはがんの厚みや、リンパ節・他の臓器への転移の有無によって決められます。メラノーマの場合は0期からⅣ期までの5段階に分けられています。

メラノーマの病期分類

0期

がん細胞が表皮内にとどまっている状態です。

Ⅰ期

リンパ節や他の部位に転移していない状態で、細かくⅠA期、ⅠB期に分類されます。

Ⅱ期

Ⅰ期と同じくリンパ節や他の部位に転移していない状態で、細かくⅡA期、ⅡB期、ⅡC期に分類されます。

Ⅲ期

腫瘍の厚さにかかわらず、周囲の皮膚やリンパ節に転移がある状態です。他の臓器への転移はありません。

Ⅳ期

腫瘍の厚さにかかわらず、周囲よりも先の皮膚やリンパ節、他の臓器への転移している状態です。

他の皮膚がんの病期分類

メラノーマ以外の皮膚がんとして、有棘(ゆうきょく)細胞がん、基底細胞がんの病期を挙げます。

有棘細胞がんは日本人の多い皮膚がんの一種で、表皮の中間層を占める有棘層の細胞から発生するがんです。

また、基底細胞がんは表皮の最下層にある基底層や毛包などの細胞から発生するがんで、高齢者に多く発生しますが、転移することはまれだと考えられています。

0期

がん細胞が表皮内にとどまっている状態です。

Ⅰ期

腫瘍が2cm以内の大きさで、真皮または皮下組織にとどまっている状態です。

Ⅱ期

腫瘍の大きさは2cmを超えますが、まだ真皮または皮下組織にとどまっている状態です。

Ⅲ期

腫瘍が皮下組織を越え、筋肉や骨に広がっている状態です。腫瘍からもっとも近いリンパ節に転移している状態もⅢ期に分類されます。

Ⅳ期

離れた臓器に転移している状態です。

皮膚がん(メラノーマ)の治療方法

皮膚がんは前述のステージに基づいて治療法を決めていきます。

メラノーマは全身どこにでも転移する特徴があり、進行した場合は手術療法のほか、放射線療法や化学療法などさまざまな手段を組み合わせて治療を行ないます(集学的治療)。

手術療法

メラノーマの場合は、外科的にがんを取り除く手術療法を優先的に選択します。目に見えるがんだけを取り除いても周辺に再発する可能性があるため、原則として周辺の組織も一緒に取り除くことになります。

腫瘍ががんかどうか診断を確定することができない場合は、取り除いた腫瘍を病理検査で詳しく調べます。その結果がんだったら、追加で周辺組織を取り除く手術をおこなうこともあります。

手術が広範囲にわたって傷を縫合できない場合は、自身の皮膚の一部を移植する手術を同時に行ないます。

根治的リンパ節郭清

根治的リンパ節郭清(こんちてきリンパせつかくせい)とは、がんの転移を避けるための手術法です。リンパ管に入ったがん細胞が、最初にたどり着くのが「センチネルリンパ節」です。その生検を実施し、もしこのリンパ節に転移が認められた場合は、その領域を広範囲に切除する手術を行います。

放射線療法

高エネルギーのX線や電子線を照射して、がん細胞を死滅させるのが放射線療法です。

メラノーマは放射線療法の効果があまり期待できないとされていますが、転移や再発に対して痛みなどの症状を抑えるために放射線療法を実施することがあります。

脳への転移に対しては、脳全体に放射線を照射する方法が多く行なわれています。転移したがんの数が少なく、全身状態も良好であれば、サイバーナイフやガンマナイフといったピンポイント照射の放射線療法を選択する場合もあります。

化学療法

化学療法は抗がん剤などを点滴注射や内服で投与し、がん細胞を攻撃する治療法です。

従来は細胞障害性抗がん剤が化学療法の主流でしたが、現在では分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などが登場し、化学療法の選択肢が広くなってきました。

術後補助療法

術後補助療法とは、手術を行ったあとに再発や転移を防ぐために行われる治療です。

手術で取り除けなかったがん細胞を死滅させるための「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」、免疫に作用してがん細胞の増殖を抑制する「インターフェロン」などがあります。

全身療法

全身療法とは、がんの再発が認められたり、病気の進行により手術が難しいケースなどに行われる化学療法です。

メラノーマの場合は、BRAF阻害薬やMEC阻害薬などの「分子標的薬」や、免疫チェックポイントに結合する働きがあり抗体薬「免疫チェックポイント阻害薬」が用いられます。

※参照元:オノオンコロジー「悪性黒色腫の治療」

※参照元:がん免疫.jp「悪性黒色腫の薬物療法」

分子標的薬

分子標的薬とは、がん細胞の増殖に関与する特定の物質を選択的に攻撃する薬です。一般的な抗がん剤と違って、正常な細胞にダメージを与えることはありません。

現在ではメラノーマの進行に影響を与える遺伝子の存在が明らかになっており、それに合わせた分子標的薬を治療に使用します。

免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞が免疫細胞の攻撃から逃れるために出したシグナルを解除して、免疫細胞によるがん細胞への攻撃を促進させる薬です。手術が困難な場合や、再発したメラノーマに対して使用されています。

皮膚がん(メラノーマ)に対する遺伝子治療

進行の程度に関わらず、基本的に皮膚がんに対して遺伝子治療を行なうことは可能です。上記の標準治療と併用することで、さらに高い治療効果を期待することもできます。

標準治療は優れた治療法には違いありませんが、やはり身体への負担や副作用はついてまわります。その点、遺伝子治療は人間が本来持っているがん抑制遺伝子の力を利用する治療法なので、身体に大きな負担がなく、どのような状態でも治療を受けられるのが強みです。

皮膚がん(メラノーマ)の転移・再発

転移とは、がん細胞が血液やリンパの流れに乗って他の臓器に到達し、そこで増殖して成長することをいいます。また、再発とは治療によってがんが目に見えなくなっても、時間をおいて再び出現することです。

メラノーマはステージが進むにつれて転移や再発を起こす可能性が高まります。個人差はありますが、再発した場合でもすぐであれば治療の効果は期待できるとされています。

皮膚がんに関する研究

悪性黒色腫と血管肉腫を対象としたホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の治験開始

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、ホウ素化合物を患者に投与することから開始する治療検査です。ホウ素を体に取り込み、体外から低エネルギーの中性子を照射します。ホウ素と中性子が反応して生じるアルファ線と、7Li粒子によって悪性腫瘍を破壊します。

注目のポイント

放射線での治療が困難と言われている悪性黒色腫ですが、患者にホウ素化合物を投与するBNCTが確立した場合、外科的治療の回避ができるようになるのがポイントです。

外科手術による広範囲の疾患部分の切除や、高齢患者さんに対しての身体的ダメージの軽減は大きなメリットになるでしょう。また1回の治療で終了すること、ホウ素をほとんど取り込まない正常細胞にはダメージを与えず、がん細胞のみターゲットにできることにも注目されています。

研究に至るまでの流れ

1950年代からアメリカでは臨床が始まっています。国立がん研究センターは、医療研究機器の製造などを行っている株式会社CICSと共同研究契約を締結。国立がん研究センターで2014年から加速器中性子捕捉治療装置「CICS-1」とホウ素薬剤「SPM-011」を用いて非臨床試験をスタート。2019年11月より治験を開始しています。

国立がん研究センター以外にも、複数の医療機関で治験が実施されています。

研究の成果

BNCT治験の研究成果の記述は確認できませんでした。

本研究がもたらすもの

メラノーマの治療は、今のところ外科手術が基本です。しかし、BNCTの治験結果が認められて今後一般の人も治療できるようになれば、手術が困難な高齢者の方や、既往症があって外科手術が難しい方などへの治療の選択範囲が広がるでしょう。

※参照元:オンコロトライアルサーチ「悪性黒色腫および血管肉腫に対するCICS-1およびSPM-011を用いたホウ素中性子捕捉療法」

※参照元:国立がん研究「悪性黒色腫および血管肉腫を対象としたホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の治験開始」

※参照元:京都大学複合原子力科学研究所

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