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前立腺がん

前立腺がんは遺伝子治療の対象となるのか、分かりやすく解説しています。

肺がん患者は遺伝子治療を受けられるのか

遺伝子治療は適応範囲が非常に広いという特性があります。前立腺がんの患者さんも治療を受けることが可能です。 がん遺伝子治療は人間が本来持っているがん抑制遺伝子の力を利用した治療法。がん細胞に対して遺伝子レベルで作用します。従来の手術療法や放射線療法、化学療法といった標準治療と併せて遺伝子治療を行なうこともでき、その場合には標準治療の効果を高める効果を発揮。

抗がん剤のように正常な細胞にまで影響を及ぼすことがないので、がんの進行度に関わらずどのような状態でも受けられる治療です。

遺伝子治療が受けられる病院はどこ?

当サイトを監修している「遺伝子治療研究会」は、全国100カ所以上のクリニックと連携しています。 その中から当サイトでは特に2クリニックを紹介していますので、治療を検討している人はぜひ参考にしてください。

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そもそも前立腺がんとは

前立腺は男性生殖器の一部で、膀胱の下に尿道を囲むように存在しています。この前立腺の細胞ががん化して発生する悪性腫瘍が前立腺がんです。

前立腺がんは早期に発見できれば治癒する可能性も高く、多くの場合はゆっくり進行するため高齢者の場合は寿命にほとんど影響しないと考えられることもあります。とはいえ、悪性度が高い「低分化腺がん」のようなタイプがあったり、同じ前立腺の中に悪性度が異なるがんが発生したりすることもあるため、決して安心はできません。

日本では近年になって急増傾向にあり、今後は肺がんに次いで男性がん患者数2位のがんになると予想されています。

前立腺がんの原因

前立腺がんの明確な原因はまだわかっていません。しかし、遺伝や食生活、男性ホルモンの影響、加齢などが要因であるという見方もあります。家族に前立腺がん患者の方がいる場合は注意したほうがいいでしょう。父親や兄弟が前立腺がんを発症した場合はリスクが2倍、さらに2人以上いれば5~11倍ともなるとも言われるほど遺伝の要素が発病に強くかかわっている病気です。

また、欧米人に多く発症していることから、食生活の欧米化もリスクのひとつと考えられています。国内の発症者が近年急増していることも、食生活が前立腺がんのリスクを左右すること裏付けていると言えるでしょう。

前立腺がんの症状

前立腺がんの初期は自覚症状がほとんどありません。進行してくると頻尿や尿の出にくさ、排尿時痛、残尿感などの症状が出てきますが、前立腺肥大症と似たような症状のため鑑別診断が必要です。

前立腺がんのステージ(病期)分類

前立腺がんの治療は進行度や身体の状態から検討することになりますが、その進行度を表すのが「ステージ(病期)」です。前立腺がんのステージ分類には一般的にTNM分類が用いられ、がんが周辺組織・臓器に及んでいるか、リンパ節に転移しているか、離れた臓器に転移しているかによって判断されます。

病期分類

前立腺がんは上記のTMN分類のほか、ステージⅠ~Ⅳ期(A~D)という分類で示されることもあります。

Ⅰ期(ステージA)

触診でも超音波検査でも発見が困難なごく小さいがんで、前立腺肥大症などの手術の際に偶然発見されることもあります。

Ⅱ期(ステージB)

がんが前立腺の中にとどまっている状態です。

検査で発見されたがんが大人しいタイプで、治療しなくても余命に影響がないと判断される場合は経過観察を行ないながら過剰な治療を防ぎます(監視療法)。この場合は定期的な検査を行なって悪化の兆しが認められたら治療開始を検討します。

手術が最適と判断された場合は、前立腺と精嚢をすべて取り除いて膀胱と尿道をつなぐ前立腺全摘出術を行ないます。その際、周囲のリンパ節も一緒に取り除くことがあります。手術の方式には開腹手術、腹腔鏡下手術のほか、近年はロボット支援手術も普及しつつあります。

放射線治療を選択する場合は、通常の対外照射療法のほか、組織内照射療法(密封小線源療法)という方法があります。組織内照射療法は、小さなカプセル状の容器に放射性物質を密封したものを前立腺に挿入し、体内から照射する方法です。

また、前立腺がんはアンドロゲンという男性ホルモンの刺激で進行する性質があるため、ホルモン療法でアンドロゲンの働きを抑える治療も行なわれます。

Ⅲ期(ステージC)

がんが前立腺被膜を超えて進展しているものの、転移はない状態です。

治療は基本的にⅡ期と同様ですが、Ⅲ期では手術が困難な場合も出てきます。

Ⅳ期(ステージD)

がんが他の臓器に転移している状態です。

Ⅳ期の場合は手術が困難な場合がほとんどで、放射線治療の効果も期待できなくなります。ホルモン療法の効果もなくなったら、化学療法でがんを小さくすることを目的とした治療を行ないます。

前立腺がんの治療方法

前立腺がんの治療では手術療法、放射線療法、薬物療法(ホルモン療法)といった標準治療を行なうのが一般的。この場合、発症年齢やステージ、全身状態などを考慮した上で治療内容が決定されることになります。

手術療法

手術は前立腺がん治療の第一選択肢で、基本的には前立腺をすべて摘出することになります。前立腺がんは臓器内に多発する傾向があるがんです。部分切除では微小ながん細胞を残してしまう可能性があるため、基本的に全摘出を行ないます。

近年では出血や勃起障害、尿失禁などの合併症が少ないロボット支援腹腔鏡下手術が普及しつつあり、患者の負担が軽減してきていると言えるでしょう。

恥骨後式前立腺全摘除術

恥骨後式前立腺全摘除術は、全身麻酔と硬膜外麻酔を併用して行なう開腹手術です。下腹部をまっすぐに切開し、前立腺を摘出します。

腹腔鏡下前立腺全摘除術

お腹に数カ所の小さな穴を開けて炭酸ガスでふくらませ、専用の内視鏡や器具で手術を行なう方法です。

開腹手術に比べて出血が少なく済むことに加え、手術の傷の小さいので身体への負担も少なく、手術後の回復が早いと考えられています。

ロボット支援前立腺全摘除術

お腹に数カ所の小さな穴を開けて行なうのは腹腔鏡手術と同じですが、ロボット手術は精密な内視鏡や鉗子をアームに装着した手術用ロボット「ダヴィンチ」を遠隔操作して行なう方法です。人間の手と違って微細な震えが制御され、拡大画面を見ながら精密な手術を可能にします。

ロボット手術は開腹手術と同等の治療成績を持つ一方で傷は小さく済み、腹腔鏡手術と比較しても回復が早いといわれています。

手術により起こりうるリスク・合併症

排尿トラブル

尿道括約筋(尿の排出を調整する筋肉)が手術で傷ついてしまうと、尿道の締まりが悪くなって、咳などの振動でも尿が漏れてしまうことがあります。もちろん手術では可能な限り神経や尿道括約筋を温存しますが、完全に損傷を防ぐことは難しいのが現実です。

多くの場合、尿失禁は手術後から数カ月程度続きます。半年ほどで生活に支障がないほど回復しますが、完全に回復するのは難しい場合もあります。

性機能障害

手術を受けた直後に勃起障害が起こるのはほぼ確実です。神経温存の程度や年齢、手術前の勃起機能などによって回復の仕方は異なりますが、完全に回復するのは難しいと考えられます。

手術で神経を温存できていれば、内服薬での治療も効果的だと考えられています。

放射線療法

放射線を照射してがん細胞を死滅させる治療法です。前立腺がんの場合に行われるのは体外から放射線を照射する方法と、線源を前立腺に埋め込む方法の2つ。転移がない限局性の前立腺がんであれば、放射線療法も根治を期待できます。

外照射療法

体外から放射線を照射する、もっとも一般的な放射線治療です。コンピューターで照射範囲を前立腺の形に合わせることで周辺の臓器へのダメージを減らす三次元原体照射や、それがさらに進化した強度変調放射線治療も広く行なわれています。

このほか、複数の方向からがんに放射線量を集中させる低位放射線治療という方法もあります。

組織内照射療法(密封小線源療法)

組織内照射療法は、放射線を出す物質を小さなカプセルに密封した放射線源を前立腺に埋め込み、体内から照射する方法です。がんのすぐ近くに埋め込むので位置がずれにくく、高い線量を照射できるのが特徴です。

放射線治療によって起こりうるリスク・合併症

放射線治療の副作用には頻尿や排尿・排便時痛などが挙げられます。数カ月経ってから起こるような副作用には、血尿や排便時の出血などもみられます。

こうした副作用の回復には数年を要することもありますが、それほど頻度は高いわけではなく、重篤な副作用はまれだと考えられます。

薬物療法

前立腺がんは男性ホルモン「アンドロゲン」の影響で進行するホルモン依存性のがん。したがって、前立腺がんの薬物療法ではアンドロゲンの分泌を抑制するホルモン剤を使用する治療が一般的です。

高齢者の場合は前立腺がんと診断されてもすぐに治療を開始せず、明らかながんの進行がみられてからホルモン剤を投与する待機療法を選択する場合もあります。

内分泌療法(ホルモン療法)

前立腺がんに対してはアンドロゲンを抑制するホルモン療法が広く行なわれています。しかし、長く治療を続けると次第に反応が弱くなり、症状が再燃することがあるのが問題点です。

確かに内分泌療法は有効な治療法ですが、この方法だけで完治させるのは困難だといえるでしょう。

症状が再燃した場合は女性ホルモン剤や副腎皮質ホルモン剤などが使用されますが、これらも次第に効果が弱まっていきます。

化学療法

化学療法は注射や点滴、内服で抗がん剤を投与し、がん細胞を死滅させたり小さくさせたりすることが目的です。通常は転移があり、内分泌療法の効果がみられなくなったがんに対して実施します。

化学療法によって起こりうるリスク・合併症

抗がん剤の種類によって副作用も異なりますが、代表的な症状は脱毛や食欲低下、倦怠感、下痢、貧血などです。中には好中球の減少など重篤な副作用もあるので注意が必要です。

前立腺がんに対する遺伝子治療

前立腺がんの進行度がどのような状態であっても、基本的に遺伝子治療を行なうことは可能です。もし仮に標準治療に適応がない場合であっても問題ありませんが、標準治療と併用することで相乗効果が期待できます。

標準治療は多かれ少なかれ身体に負担がありますが、遺伝子治療は人間が本来持っている機能を活かした治療法なので身体に大きな負担はありません。標準治療と違ってどんな状態でも治療を受けられるのが遺伝子治療の強みです。

遺伝子治療によって起こりうるリスク・合併症

遺伝子治療は人間が本来持っている機能を活かした治療なので、大きな副作用はないと考えられています。治療後に発熱や発疹がみられる場合がありますが、重大なリスクや合併症の心配は少ないでしょう。

前立腺がん患者の生存率

5年生存率

対象数 生存状況
把握割合
実測
生存率
相対
生存率
前立腺がん 53,611 97.8 83.1 98.8
Ⅰ期 891 97.9 85.1 100.0
Ⅱ期 36,242 97.7 89.9 100.0
Ⅲ期 7,960 97.9 86.9 100.0
Ⅳ期 7,712 98.0 49.2 61.3

※参照元:国立がん研究センター がん登録・統計:がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計「2010-2011年5年生存率の主な結果」

実測生存率とは、がん以外も含むすべての死因を計算に含めた生存率です。つまり、事故や自然死などがん以外の死因による死亡も含まれます。

性別や年齢など、がん以外の死因に大きく影響する要因が異なる集団で生存率を比較する場合、上記のような5年生存率などでは補正する必要があります。それが相対生存率です。性別や年齢など同じ特性の集団の期待生存率で実測生存率を割ることで、がん以外の死因による影響を補正します。相対生存率はこのようながんの生存率の算出に広く用いられています。

前立腺がん治療の予後・経過観察

前立腺がん治療後の経過観察は、身体の状態にもよりますが、治療後2年間は3カ月ごと、3~4年目は半年ごと、以降は年1回程度が通院の目安です。

必要に応じて診察やPSA検査、画像検査などを行ないます。ただし、気になる症状があれば早めに受診して主治医に相談してください。自分の体のことを一番理解しているのはあなた自身です。違和感を覚えたら「気のせいかも…」とやり過ごすのはよくありません。相談して損はないのです。

手術後の生活

日常生活において、食事や運動などの制限は基本的にありません。手術の副作用として尿失禁がありますが、尿漏れ用パッドや紙おむつなどを使用して対処しましょう。かぶれないように小まめに交換し、シャワーや入浴の回数も増やします。

放射線治療後の生活

こちらも食事や運動などの制限はありませんが、倦怠感や食欲低下がみられることも多いので無理は禁物です。排尿に関する症状は飲酒で悪化する場合があるので、症状に応じて禁酒を考えるべきでしょう。

放射線治療の副作用と思われる症状が強い場合は主治医に相談してください。

薬物療法後の生活

薬物療法を受けると倦怠感や食職低下などさまざまな副作用が起こる可能性があります。症状が強い場合は主治医に相談しましょう。

性生活

前立腺がんの治療中は避妊を心がけてください。治療が性生活・妊娠に与える影響はさまざまですが、もちろん対処法もあります。妊娠を希望する場合は、治療前にあらかじめ主治医とよく相談しておきましょう。

前立腺がんの転移・再発

前立腺がんが進行すると、リンパ節や骨盤、脊椎などに転移するリスクが増加します。特にホルモン療法を行なっていると骨粗しょう症のリスクが高まり、骨がもろくなったところに転移すると、脊椎であれば骨が押しつぶされて圧迫骨折をきたすことも。

また、手術で前立腺を摘出してもPSA(前立腺特異抗原:前立腺の上皮細胞から分泌されるたんぱく質)が再上昇し、その後に画像検査でも見えるような再発が現れることもあります。

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