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胃がん

胃がんは遺伝子治療の対象となるのか、やさしく解説します。

胃がん患者は遺伝子治療を受けられるのか

胃がんに対する新しい治療法のひとつに「遺伝子治療」が挙げられます。

遺伝子治療とは、がんを抑制する遺伝子や、がん細胞だけを選んで攻撃する遺伝子を体に導入する治療法のこと。胃がんを含む幅広いがんに対して適応があるうえ、薬物療法などの他の治療との併用効果も高いのが特徴です。

人の体にもともと備わっている遺伝子を使い、がん抑制機能を本来の状態に回復させる治療であるため、治療にともなう苦痛や重い副作用のリスクが少ないという特徴も。このように、患者さんのQOLに与える影響を最小限に抑えられる点も、遺伝子治療のすぐれた長所のひとつであるといえるでしょう。

ただし、ある条件に当てはまる場合は、遺伝子治療を受けるのが難しいことも。具体的な治療対象除外基準については、以下のリストをご参照ください。

治療対象の除外基準

遺伝子治療が受けられる病院はどこ?

2020年5月現在、遺伝子治療研究会では、日本国内の複数クリニックと連携しています。

当サイトでは、実際に遺伝子治療を受けることができる病院・クリニックをいくつかピックアップしてご紹介しています。具体的な病院の情報については、下記のページをご参照ください。

遺伝子治療を提供しているクリニックはこちら

そもそも胃がんとは

臓器のひとつである胃にできるがんのことを、胃がんといいます。始めは胃の最も内側にある粘膜層に発生しますが、進行するにつれて次第に胃壁の外側へと広がっていきます。

胃がんの原因となり得るリスク要因としては、塩分やアルコールの摂りすぎをはじめとした食生活の乱れや、喫煙などの生活習慣の乱れといったものが挙げられます。

また、とりわけ注意が必要な強いリスク要因として、ヘリコバクター・ピロリ菌への感染が指摘されています。

なお、胃がんは男女ともに比較的よくみられるがんですが、どちらかというと男性や高齢の方に多く発症する傾向があります。

胃がんの症状

胃がんによって起こる症状の例には、次のようなものが挙げられます。

このほかに、がんが進行している場合には、黄疸や嚥下困難(食べ物の飲み込みにくさ)などが現れることもあります。

なお、初期の胃がんではっきりと自覚できるほどの症状が現れることはまれであり、症状が無いまま進行することも決して珍しくないといわれています。症状が現れたとしても、食欲不振や胸やけなどの比較的軽いものが多いため、単なる胃の不調と誤解して見過ごされてしまうことも。

長く続く胃の不調や不自然な体重減少が見られた時は、放っておかず早めに医療機関を受診することが大切です。

胃がんのステージ(病期)分類

胃がんのステージ分類は「がんがどの程度の深さまで浸潤しているか」「胃の周辺にあるリンパ節への転移の有無」「胃から遠い臓器やリンパ節への転移の有無」の3つの基準の組み合わせによって行われます。

なお、胃は内側から順に、粘膜層、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜という5つの層で構成されています。そして、胃がんのうち、浸潤の深さが粘膜下層までのものを「早期胃がん」、がんが粘膜下層を超えて筋層や漿膜、あるいはその外側にまで広がっているものを「進行胃がん」といいます。

また、胃がんのステージ分類には、画像診断や生検などの結果に基づき、がんの広がり方を推定する「臨床分類」と、手術で摘出した腫瘍を調べた結果に基づき、実際のがんの広がり方を評価する「病理分類」の2つの種類があります。

臨床分類

病理分類

0期

胃の最も内側にある粘膜層の内側にのみがん細胞がみられる状態です。

ⅠA期

がんが胃の粘膜下層に広がっている状態です。

ⅠB期

がんが胃の粘膜下層に広がり、かつ患部周辺にあるリンパ節の1~2ヵ所に転移がみられる状態です。

また、リンパ節や他臓器への転移は見られないものの、がんが胃の固有筋層にまで広がっている場合にも、このステージに分類されます。

ⅡA期

以下のうち、いずれかの条件を満たす状態が該当します。

ⅡB期

以下のうち、いずれかの条件を満たす状態が該当します。

ⅢA期

以下のうち、いずれかの条件を満たす状態が該当します。

ⅢB期

以下のうち、いずれかの条件を満たす状態が該当します。

ⅢC期

がんが胃の表面に出て周辺の臓器に広がり、かつ周辺のリンパ節に7ヵ所以上の転移がみられる状態です。

また、がんが胃の漿膜下層あるいは胃の表面まで広がり、かつ周辺のリンパ節に16か所以上の転移がみられる場合も、このステージに該当します。

Ⅳ期

がんが胃から離れた臓器に転移している状態です。なお、がんの浸潤の深さやリンパ節への転移は問いません。

胃がんの治療方法

胃がんの治療法には、内視鏡治療、手術治療、薬物療法などが挙げられます。

内視鏡治療

内視鏡を使った治療は、粘膜層の内側に留まる早期のがんであり、かつ切除が可能であると判断される場合に行われることがあります。

治療では、内視鏡の先端の高周波ナイフやワイヤーを用いて、病変部の粘膜を広めにはぎ取るように切除します。手術よりも体への負担が少なく、かつ胃を温存することができるため、術後の生活への影響も抑えることが可能です。

内視鏡治療の副作用やリスク

内視鏡治療はモニターを見ながら行なうため、肉眼よりも視野が小さく、高度な技術を要します。また、万が一出血などの合併症を起こした場合は止血に時間がかかる可能性があります。

さらに内視鏡治療特有の合併症として穿孔(胃の壁に穴が開いてしまうこと)があります。治療が上手くいったとしても、このような合併症はごくわずかな可能性で起こってしまうのです。

内視鏡治療でがんを取り切れなかった場合は、開腹手術に移行しなければなりません。

手術

遠隔転移がなく、かつ内視鏡では取りきるのが難しい胃がんの場合には、基本的に手術による治療が行われます。

手術の内容は、胃の一部あるいは全体と周辺のリンパ節を取り除き、かつ新たな食物の通り道を作る(消化管の再建)というものです。

胃のどの部分を切除するかは、腫瘍のある部位や病気の進行度によって決定されます。また、胃の周囲にある肝臓や脾臓などにがんが広がっている場合は、胃と並行してこれらの臓器の病変部分の切除を行うこともあります。

腎部分切除術(腎機能温存手術)

腎臓にできたがんだけを部分的に切除する方法です。腎臓の機能を温存させ、長期的に腎臓機能の低下や合併症のリスクを軽減できるため、可能であれば選択すべき手術方法とされています。

がんのサイズが概ね4cm以下であればこの方法が可能ですが、がんの位置などによっては難しい場合があります。

腎摘除術(根治的腎摘除術)

がんがある腎臓をすべて摘出する方法で、腎部分切除術の適応がない場合に行なわれます。

がんの進行・転移の状態によっては、腎臓だけではなく副腎や周囲の臓器、血管内のがんも併せて切除する場合もあります。

動脈塞栓術(局所療法)

腎臓に血液を送り込む腎動脈を閉塞させ、がんへの血流を遮断する方法です。サイズの大きながんを摘出する場合、その手術の前に行なわれることがあります。また、がんの摘出が困難な場合にもこの方法が検討されます。治療後は一時的に痛みや発熱が生じる場合があります。

経皮的局所療法

小さながんに対する治療法で、経皮的凍結療法やラジオ波焼灼術(RFA)があります。具体的には、特殊な針を体外から直接がんに刺し、凍らせたり焼いたりしてがん細胞を死滅させるという方法です。

通常は超音波やCT、MRIなどの画像検査で確認しながら実施します。この方法は手術に耐えられない高齢者や合併症がある患者さん、手術を希望しない患者さんに対して行なわれます。

手術の副作用やリスク

手術の最大のデメリットは、身体的な負担です。身体にメスを入れるには患者自身の相当な体力が必要で、回復にも時間がかかります。

患者さんの年齢や持病、全身状態によっては手術そのものが不可能な場合もあるでしょう。もちろん、がんが進行してしまって転移がみられる場合などは手術が適応されないことがほとんどです。

薬物療法・化学療法

遠隔転移がみられ、手術でがんをすべて取り除くのが難しい場合には、抗がん約や分子標的薬などによる薬物治療が行われます。

また、薬による治療は、持病や年齢などの事情により手術を受けるのが困難な方への治療や、手術後に再発を予防するための補助療法に用いられることもあります。

分子標的治療

分子標的治療は、原発がんや転移したがんの手術を行なう前に、がんのサイズを小さくするために行なわれることもあります。

治療の副作用は分子標的薬の種類によって異なるため、治療を開始する前に期待できる効果と副作用について十分に説明を受けておきましょう。

免疫療法

進行性の腎細胞がんの場合は、免疫療法を選択することがあります。

サイトカイン療法

分子標的治療の効果が期待できない場合は、サイトカイン療法も検討されます。インターフェロンという薬剤を使用する治療法で、効果が現れる可能性は15~20%と低いのですが、うまくいくと劇的な効果をもたらすとされます。

また、日本人は欧米人よりもインターフェロンが効きやすいことが知られています。

免疫抑制阻害療法

免疫チェックポイント阻害剤を用いた治療法で、現在では2次治療、3次治療の選択肢の一つとされています。

ニボルマブという薬剤を使用しますが、投与のタイミングに関して一定の見解はまだ得られておらず、この治療法は今後大きく変化していく可能性を残しています。

薬物治療の副作用やリスク

抗がん剤のイメージのひとつに副作用がありますが、それが薬物治療のデメリットといえるでしょう。

近年は副作用を抑える治療や薬そのものの進歩によって、以前よりも治療の負担は少なくなってきていますが、それでもつらい治療には違いありません。

遺伝子治療

当サイトで紹介している遺伝子治療は、正常ながん抑制遺伝子を体内に投与することでがん細胞の増殖にブレーキをかけ、アポトーシスに導くという治療法です。

人間には本来、がん細胞の発生を抑制する遺伝子が備わっています。これが何らかの理由で壊れてしまうと、がん細胞の発生を止めることができず、病気としてのがんを発症すると考えられています。そこで、がんの種類に応じたがん抑制遺伝子を投与し、がん抑制機能を回復させるというのが遺伝子治療の目指すところです。

人間が本来持っているがん抑制機能を回復させる治療法なので、抗がん剤のような大きな副作用がないことがメリットです。また、幅広いがんに適応があるのも遺伝子治療のメリットで、もちろん胃がんの患者さんもステージにかかわらず遺伝子治療を受けることができます。

遺伝子治療の副作用やリスク

がん遺伝子治療に大きな副作用はないとされます。

強いていえば、がん遺伝子治療は保険未承認のため、臨床試験を経て認可された治療法に比べると安全性・確実性の面では後を行くのが実情です。しかし、これはどんなに優れた治療法であっても通る道ですので、現時点では仕方のないことだといえます。

免疫療法

手術、抗がん剤治療、放射線治療に次ぐ第4の治療法とも呼ばれる免疫療法ですが、代表的な治療に免疫細胞療法があります。

患者さんの血液から免疫細胞を取り出して培養・活性化して体内に戻し、がん細胞への攻撃力を高めるというのが免疫細胞療法の仕組みです。樹状細胞ワクチン療法やNK細胞療法など、さまざまな種類があります。

このほか、光をあててがん細胞を破壊し、破壊されたがん細胞の破片を認識して免疫細胞が活性化するという光免疫療法があります。使用する薬剤が保険承認を受けたことでも注目されていますが、この光免疫療法もその名のとおり、免疫療法のひとつです。

免疫療法の副作用やリスク

免疫細胞療法は大きな副作用がない反面、効果が出るまで時間がかかるのがデメリットです。あくまでも免疫力を高める治療であり、手術のように物理的に腫瘍を取り除くわけではないため即効性は期待できません。

また、免疫細胞療法は保険未承認の治療であり、有効性や安全性が確立していない部分があるのも事実です。

腎がん患者の生存率

5年生存率

対象数 生存状況
把握割合
実測
生存率
相対
生存率
腎がん 13,193 97.6 72.2 80.1
Ⅰ期 8,677 97.4 86.9 96.0
Ⅱ期 741 97.8 79.0 86.4
Ⅲ期 1,404 97.8 66.3 74.6
Ⅳ期 2,090 98.1 15.7 17.5

※参照元:国立がん研究センター がん登録・統計:がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計「2010-2011年5年生存率の主な結果」

実測生存率は、がん以外の死因も計算に含めた生存率で、がん患者さんががん以外の病気や事故などで亡くなったケースも計算に含まれています。

一方、相対生存率とは性別や年齢など、同じ条件の集団の期待生存率で実測生存率を割り出すことで、がん以外の死因が補正された生存率です。一般的にがんの生存率を考える場合は、こうした補正の仕方が広く用いられています。

腎がんは他の臓器のがんと比較すると5年生存率は高いと考えられます。とくに病期がⅠ期、Ⅱ期の場合は腎摘除術の治療成績が良好なこともあって、表のとおり80~90%と高い数値を示します。しかし、進行がんであるⅣ期になると生存率は急激に低下します。腎がんも早期発見、早期治療が大切だということを表しているといえるでしょう。

胃がんの転移・再発

胃がんの転移

胃がんの転移には、がん細胞が血流に乗って他の臓器に転移する「血行性転移」、がん細胞がリンパ管に入ってリンパ節に転移する「リンパ行性転移」、胃の表面に出たがん細胞が腹部に散らばる「腹膜播種(ふくまくはしゅ)」の3つの種類があります。

このうち、最もよく見られるのは、胃からこぼれたがんが周辺に広がる腹膜播種であるといわれています。

胃がんの再発

初回の手術時に温存した胃の部分でがんが再燃したり、治療で取り切れなかった微小ながんが別の臓器やリンパ節に転移して大きくなったりすることを「再発」といいます。そして、胃がんの再発は、その多くが初期治療から5年以内に起こるといわれています。

がんの再発・転移が分かった場合の治療法は、病変の部位やその時の全身状態などによっても異なりますが、主に薬物療法によって行われるのが一般的です。

胃がんに関する研究

日本人の胃がんリスクにつながる遺伝的背景と生活習慣

東京大学先端科学技術研究センターゲノムサイエンス部門を中心とした研究グループは、横浜市立大学、国立がん研究センターのグループとともに人種横断的な大規模胃がんゲノム解析を実施しました。

対象はアジア人319人、非アジア人212人の計531人の胃がん患者で、体細胞ゲノム変異のパターン、胚細胞(遺伝情報を次世代へ伝える細胞)の病的変異、生活習慣などの関連性について調べられました。

注目のポイント

この研究によって、アジア人特有のアルコール分解酵素「ALDH2」遺伝子多型(アルコールが分解できない遺伝子タイプ)と飲酒・喫煙習慣との関連による胃がんが明らかになりました。また、組織の形成に重要な細胞同士を接着する「E-カドヘリン遺伝子」の胚細胞における病的変異が、日本人の胃がん患者に高頻度で存在することもわかりました。

上記が判明したことで、より効果的な胃がん予防が可能になると考えられています。

研究に至るまでの流れ

日本をはじめ、東アジアでもっとも発生頻度の高い悪性腫瘍が胃がんです。がんゲノムシーケンスの進歩によって、胃がん発症のきっかけとなる体細胞ゲノム変異の全体像も明らかになってきました。

一方、胃がんの発症リスクについてはピロリ菌が広く知られていますが、遺伝的素因やそれらの環境因子の関連についての全体像は明らかになっていませんでした。そこで、上記のとおり人種横断的な大規模胃がんゲノム解析が実施されたのです。

研究の成果

本研究の結果、アルコールが原因と考えられる特徴的なゲノム変異のパターンがみられる胃がん症例がアジア人に特異的に認められました。日本人の胃がんに限った解析では6.6%、16名に認められています。それらの症例は東アジア人に特有のアルコール分解ができない遺伝子タイプで、飲酒・喫煙の両方がある場合に相乗的に変異が増加するのが特徴です。

また、胃がんの発症リスクとなる胚細胞の病的変異を探索したところ、624個におよぶがん関連遺伝子の中でもE-カドヘリン遺伝子上の病的変異の密度がもっとも高いことが判明しました。これらの変異を有する胃がん患者は、大多数がびまん型胃がん(スキルス胃がんなど難治性の胃がん)であり、びまん型胃がん症例の13.3%を占めています。

本研究がもたらすもの

東アジア地域に特有なアルコール分解ができない遺伝子タイプと飲酒・喫煙習慣の組み合わせ、E-カドヘリンの胚細胞における病的変異が、日本人における胃がんの原因のひとつとして強く示唆されています。とくにびまん型胃がん症例の21.0%は、いずれかが影響していることは間違いないようです。

本研究の結果は、ハイリスクな胃がんを遺伝的要因によって絞り込み、効果的なスクリーニングや生活習慣の改善による予防、血縁者に対する内視鏡スクリーニング検査等による早期発見など、効果的な介入のための重要な知見をもたらしています。

本研究への期待

本研究は日本医療研究開発機構の次世代がん医療創生研究事業および革新的がん医療実用化研究事業、化学研究補助金の支援のもとで行なわれており、大きな期待が寄せられていることがわかります。

また、本研究の結果は世界的に影響力のある米科学誌「Science Advances」でも公開されています。

参考元:国立研究開発法人日本医療研究開発機構「日本人の胃がんリスクとなる遺伝的背景と生活習慣―人種横断的大規模胃がんゲノム解析の成果―」
https://www.amed.go.jp/news/release_20200507.html

ニボルマブとカボザンチニブの併用療法が進行性腎細胞がんに大きな効果

2021年1月、米国食品医薬品局(FDA)が進行性腎細胞がんに対する初回治療として、ニボルマブとカボザンチニブの併用療法を承認しました。同じく腎細胞がんに適応があるスニチニブの単剤療法と比較して高い治療効果、そして生存期間の延長が認められたということです。

ニボルマブ、カボザンチニブについて

ニボルマブは商品名「オプジーボ」で、免疫チェックポイント阻害剤のひとつ。日本では悪性黒色腫の治療薬として販売され、その後も肺がん、頭頸部がん、胃がん、そして腎細胞がんなどに適応が認められた高い実績を持つ薬剤です。

カボザンチニブは米国において進行性腎細胞がんなどの適応で承認されている薬剤。日本では商品名「カボメティクス」として、手術不能または転移性の腎細胞がんの治療薬として承認を受けています。

臨床試験の内容と結果

今回の臨床試験は、治療を受けていない進行性または転移性の腎細胞がんを対象に、ニボルマブとカボザンチニブの併用療法と、スニチニブの単剤療法を比較検討した国際共同試験です。患者さんはオプジーボ240mgを2週間間隔で点滴静注、カボメティクス40mgを1日1回経口投与する併用療法群と、スニチニブ50mgを1日1回4週間経口投与し2週間休薬するサイクルの対照群に分けられ、病勢の進行または毒性が認められるまで継続されました。

結果は注目に値するものでした。スニチニブ単剤療法を行なった対照群に比較して、ニボルマブとカボザンチニブの併用療法群が全生存期間、無増悪生存期間(むぞうあくせいぞんきかん)、奏効率などすべての有効性評価項目で有意な改善が認められたのです。

とくに無増悪生存期間の中央値や奏効率は実に2倍もの改善とのこと。この結果に基づき、FDAが当該併用療法を初回治療として承認するに至りました。

本研究がもたらすもの

腎細胞がんは多くの患者さんが再発を起こすため、幅広い治療の選択肢が望まれています。そのような中で、今回の臨床試験の結果と承認は、進行性または転移性の腎細胞がんの治療に新たな可能性を切り開いたといえるでしょう。

腎細胞がんの治療の選択肢はまだ拡大の余地があると考えられ、同様の研究や臨床試験には引き続き大きな期待が寄せられています。

ウイルス性胃がんメカニズムを解明

注目のポイント

千葉大学大学院医学研究院 金田篤志教授、国立シンガポール大学医学部 パトリック・タン教授らの研究グループによって、すべての胃がんの8~10%に相当するウイルス性の胃がん(EBウイルス胃がん)を引き起こすメカニズムが解明されました。このことにより、EBウイルス胃がんだけでなく、エピゲノム異常やウイルス感染が関わるその他多くの癌の解明と治療法の開発につながるとして注目されています。

研究に至るまでの流れ

胃癌の8~10%を占めるEBウイルス胃がんは、ウイルス感染から発がんに至るということはわかっていました。しかしそのメカニズムは解明されていませんでした。

研究の成果

細胞は通常、使われていないゲノム(全遺伝情報)領域には「不活性マーク」を飾り付け閉じ込めています。しかし、金田篤志教授らのグループは、EBウイルス胃がんでは、この不活性領域がウイルスの侵入でこじ開けられて異常活性化し、周囲のがん遺伝子の発現量を上昇させて、発がんに至るということを突き止めました。この胃細胞内でウイルスの侵入によって発がんするメカニズムを「エンハンサー侵襲」と命名ししています。

本研究がもたらすもの

胃がんの発症には、細菌やウイルスなどの感染が大きく関わっていることが明らかになっています。しかし、そのメカニズムはなかなか解明されませんでした。

胃がんはがん患者の中でも最も多く、約13万人以上が罹患しています。今回発見されたエンハンサー侵襲がEBウイルス胃がんだけではなく、その他多くのがんに解明と治療法の開発につながっていくと期待されています。

ヒト胃からのヘリコバクター・スイスの培養に成功

注目のポイント

国立感染症研究所細菌第二部の林原絵美子主任研究官、柴山恵吾部長、同研究所薬剤耐性研究センターの鈴木仁人主任研究官、杏林大学の徳永健吾准教授、北里大学の松井英則講師らの研究グループは、今までヒト胃からの分離培養ができなかったヘリコバクター・スイスの培養に成功しました。そして、マウス感染実験によってヘリコバクター・スイスが胃に関連した疾患の病原最近であることを証明しました。

研究に至るまでの流れ

胃がんや消化性潰瘍の原因となる病原細菌であるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は、1983年にオーストラリアのロビン・ウォレンとバリー・マーシャルにより培養が成功できたことによって、病原性の詳細が解明され診断や治療が発展していきました。一方、同じようにヒト胃に感染するヘリコバクター・スイスはピロリ菌が検出されないタイプの胃がんや消化性潰瘍の原因であるのではないかということは1980年代より言われていましたが、ヒト胃からの分離培養が難しく解明のための研究が進まない状態が続いていました。

ピロリ菌の解明が進み治療法が確立し感染率が低下している現代、ヘリコバクター・スイスの病原体の解明は胃関連疾患の治療をさらに発展させていくうえで重要なキーポイントとなっていたのです。

研究の成果

林原絵美子主任研究官を中心とした研究グループは、ヘリコバクター・スイスがpH値により生存性が変わることに着目し、胃生検組織を酸性条件に保つ方法で培養を試みました。そして世界で初めてヒト胃からヘリコバクター・スイスの人工培地での分離培養が成功しました。

本研究がもたらすもの

ヘリコバクター・スイスはピロリ菌とは異なる機序でがんなどを発症させると考えられています。今回培養が成功したことによってその病態発症メカニズムの解明が進むことが期待されています。

また、今まで胃生検体のDNAをPCR法によってヘリコバクター・スイス感染の有無を診断して得いましたが、培養が出来るようになったことによって感染診断法の開発や治療法の確立に大きな期待が寄せられています。

参考元:東京新聞「ウイルス性胃がんメカニズムを解明 千葉大など研究グループ」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/47929

参考元:日本医療研究開発機構「ヒト胃からのヘリコバクター・スイスの培養に成功―ピロリ菌だけでなく、ヘリコバクター・スイスもヒト胃における病原細菌であることを証明―」
https://www.amed.go.jp/news/release_20210324.html

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